現象の奥へ

Entries from 2019-11-01 to 1 month

フェルメール「地理学者」部分模写(色鉛筆)

今年のカレンダーを毎日食卓から見ていて、ふと描きたくなった。11月の「地理学者」。 フェルメール「地理学者」部分模写(色鉛筆)

『 ドクター・スリープ 』──スリープしてしまうほど怖くない(笑)。(★)

『ドクター・スリープ』(マイク・フラナガン監督、2019年、原作『DOCTOR SLEEP』 だいたい事情がわかってきた。『シャイニング』の監督キューブリックと、原作者スティーブン・キングは、その思想がまったく相容れない。キングは、子供たちを中心に、心霊的…

【オンライン連載小説】「私のように美しい女、わるいは、いかにして私は火星人を愛するようになったか」2

2 序文(つづき) 「一方、ゴア・ヴィダル(あるいは、トム・ウルフだったっけ? 彼らの反撃者のひとり、 いずれにしろ、お文学以外のすごくエンターテインメントなべつのものを書くやつだよ)、彼が、フィクティブ・ファビュリズム、ポストモダニズム、まあ…

【オンライン連載小説】 「私のように美しい女、あるいは、いかにして私は火星人を愛するようになったか」第1回

【オンライン連載小説】 「私のように美しい女、あるいは、いかにして私は火星人を愛するようになったか」第1回 序文 まあ、ジョン・バースの『レターズ』かな、と思って、二巻に分かれている邦訳の、とりあえず第一巻を探したが、すぐには見当たらず、第二…

【昔のレビューをもう一度】『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡) 』──バットマンあるいは(無知ゆえの高評価)(★★★★)

● 本作の価値を高めていた知的な俳優、エドワード・ノートンが、20年ぶりでメガホンを取った作品が待たれるお正月。 『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡) 』(アレハンドロ・G・イニャリトゥ監督、2014年、原題『BIRDMAN OR (THE UNEXPECTE…

【昔のレビューをもう一度】『魂萌え! 』──秋吉久美子に負けた(笑)!(★★★)

『魂萌え! 』(阪本順治監督、2006年)2007年2月8日 23時16分 なんせ、『顔』の阪本順治監督ですからね、フツーのオバサンのハナシは作らないと思いましたよ。しかし、いかんせん、フツーのオバサンのハナシになってました(笑)。 こういう映画は、たいて…

『北村薫の創作表現講義―あなたを読む、わたしを書く (新潮選書) 』──こんな講義を受ける学生がかわいそう(笑)(★)

『北村薫の創作表現講義―あなたを読む、わたしを書く (新潮選書) 』(北村薫著、 2008/5/1、新潮社) 『公募ガイド』の今月号、すなわち、2019年12月号に、この北村薫氏が登場し、小説の書き方指南をしていて、ついでに本書も宣伝してある。近刊かと思ったら…

【昔のレビューをもう一度】『リトル・ミス・サンシャイン』──「負け組」であることのまっとうさ(★★★★★)

●見どころ→「哲学的理由から口をきかない落ちこぼれ高校生の長男」に、ポール・ダノ、すでにして、堂々たる存在感! 『リトル・ミス・サンシャイン』(ジョナサン・デイトン ヴァレリー・ファリス監督、2006年、原題『LITTLE MISS SUNSHINE』)2007年1月15日…

『小説作法ABC (新潮選書)』──著者も森博嗣『職業としての小説家』を読んだ方がいい(笑)(★)

『小説作法ABC (新潮選書)』(島田雅彦著、2009/3/1、新潮社) このほど、「公募ガイド」で講座を持つことになった、島田雅彦氏の10年前の「指南書」であり、ほぼ、法政大学の講義録のようである。まず、新潮社というのが、おおかたコネで著者を見つけている…

【詩】「いるかの王国、あるいは難問」

「いるかの王国、あるいは難問」 Ad usum Delphini 盲目の王子よいまこのラテン語を指でたどれ過去はいつも土砂降りでそなたの王冠が乾いたためしはなくその地図にデンマークはなくイングランドもノルウェーもないだが王子よそなたの気位こそが宇宙を生成す…

【本】『読書実録』──テクストの喜びゼロ(★)

『読書実録』(保坂和志 著、2019/9/26、河出書房新社 ) たとえば、カフカの日記は、普通ならこぼれてしまうような行間を拾って、どこまでも興味は尽きないが、保坂和志も、カフカに習っているようだが、結果はまったく見当違いとなって失望させられた経験…

【昔のレビューをもう一度】『ブルーに生まれついて』──歴史に残るジャズ映画の傑作(★★★★★)

『ブルーに生まれついて』(ロバート・バドロー監督、2015年、原題『BORN TO BE BLUE』) 2016年12月13日 8時18分 イーサン・ホークがチェット・ベイカーを演じるという情報がFacebookに流れてきた7月から、「おおーッ!」と感じ、すぐにサントラの一部の、…

【本】『フーコー入門 (ちくま新書)』──フーコーのテクストとはなんの関係もない(★)

『フーコー入門 (ちくま新書)』(中山元著、1996/6/1刊、筑摩書房 ) フーコーの「処女作」は、精神科医ビンズワンガーの翻訳及び、著書の、本文より長い序文である。カントの人間学から、文献学へと進んでいったフーコーは、なにより、ドイツ語に通じる哲学…

【昔のレビューをもう一度】『ディパーテッド 』──ハリウッドが放つ純文学(★★★★★)

『ディパーテッド』(マーティン・スコセッシ監督、2006年、原題『THE DEPARTED』) 2007年1月22日 3時30分 本作を観て、私はやっと、マーティン・スコセッシという監督のことがわかったような気がする。彼のテーマは人間の心の動きで、その複雑な世界を表現…

【詩】「魔の山」

「魔の山」 病を得てトーマス・マンの、『魔の山』のようなサナトリウムにいる気分。サマセット(モーム)に文学案内されてラ・ファイエットに行き着けば、「フランスの詩は凡庸」だけど「散文には大いに学ばされる」T・S・エリオットも同様のことを言って…