現象の奥へ

Entries from 2024-02-01 to 1 month

【詩】「愛皇帝暗殺」

「始皇帝暗殺」風蕭蕭兮易水寒壮士一去兮不復還葱白く洗ひたてたる寒さ哉(芭蕉)易水に根深流るる寒さかな(蕪村)おのれを鼓舞するため、石に刻まれた言葉は、詩となり、日本まで来た。海は遠く、葡萄酒色。彼らはホメロスが見ていた、その色を知らなかっ…

【詩】「地獄で待ってろクソじじい!」

「地獄で待ってろクソじじい!」 某じじいの詩人が、じじい皆殺しの詩を考えて、 武器なしで言葉だけで殺したいと。 氏は、「武器」のことを、ヤクザことばの「チャカ」を「茶菓」と表現していた。なにか、ヤクザのように残虐でありたいけれど、そこまで下品…

ビクトル・エリセ『瞳をとじて』

ビクトル・エリセ『瞳をとじて』──記憶とは動き続けるもの92年の『マルメロの陽光』で、ビクトル・エリセは、脚本を作らず、最低限の設定で、画家がマルメロの木と向き合い、描いていく様子を撮った。このとき、画家との了解以外、プロデューサーも決まって…

土井善晴『味つけはせんでええんです』(ミシマ社)

土井善晴『味つけはせんでええんです』(ミシマ社)「料理して食べるという営みにあるのは、栄養の摂取、食の学び(マナー・知識)、空腹を満たす満足、おいしさの楽しみ、人間関係を深めるという目的だけではありません。人生にかかわるあらゆるものの起源…

【詩】「高村光太郎」

「高村光太郎」ふつう、月が出ている、とか、星が出ている、とか、書く。しかし、高村光太郎は、「火星が出ている」と書いていた。そんな詩を、料理研究家の土井善晴氏のエッセイ集、『味つけはせんでええんです』に引用してあった。そういや、中学生の頃、…

【詩】「紫式部日記」

「紫式部日記」まず大きな疑問は、古代に、自我が、存在したかどうか。平民は、穴ぐらのようなところに住んでいた時代である。「紫式部日記」なる薄い書物は、一条天皇中宮、彰子が出産のために実家である、土御門殿に帰り、安産を祈願する僧たちの読経の声…

母山下みゆきの水彩画、「きんかん」

母山下みゆきの水彩画、きんかん。

【詩】「ダンテと海ザリガニ」

「ダンテと海ザリガニ」って短編がベケットにあった。ベラックァが風邪で寝ていて、ベラックァはイタリア語を習っていて、ダンテのところがあって、それで……。海ザリガニをゆでていたんだ。英語圏の詩人たちにとって、ダンテは崖のようにそびえている。「ダ…

【詩】「さらば涙と言おう2」(阿久悠)

「さらば涙と言おう2」(阿久悠)さよならは誰に言う?さよならは哀しみに。雨の降る日を待って、さらば涙、と言おう。と、ぶっきらぼうに歌っていた学生服の森田健作は、のち、千葉県知事になった。それから、さらば、県知事職と言った。森田はいったい、何…

【思い出す映画】『告発の行方』

【思い出す映画】ジョディー・フォスター主演『告発の行方』ケリー・マクギリスの弁護士が、ジョディー・フォスターを擁護して戦う。ジョディの役は、もともと身持ちのよくない不良の女。ジュークボックスのある店にたむろし、曲をかけては、セクシーなダン…

【記憶のなかの詩句】

【記憶のなかの詩句】「夜はいまだ、青梅の未熟さなので」(大岡信) 大岡信の詩のなかの一行であるが、演出家鈴木忠志率いる、劇団「スコット」富山県利賀村公演での、ギリシャ悲劇の「トロイアの女」か「バッコスの信女」に出てきた。看板女優、白石加代子…

【詩】「ドシウエフスキーの『永遠の良人』」

ドストエフスキーの「永遠の良人」 「一は二十年の漁色生活による、他は二十年の結婚生活による、数々の苦痛が念入りに育て上げた、爛熟した人間の心の平常な姿だ。一歩進めてと言ってもいゝ。人間四十年もこの世に暮らして、この程度の心の無気味さ持てなけ…

【詩】「ハムレット」

「ハムレット」「ハムレット」という小説をラフォルグが書いている。そのなかに、意地悪そうな目つきをした白鳥たちという表現があるが言い得て妙だ。ハムレットといえば、すぐに思い出すのは、文学座の江守徹である。アトリエの公演で「ハムレットや調子は…