現象の奥へ

Entries from 2024-06-01 to 1 month

【記憶に残ったフランス語】

【記憶に残ったフランス語】Le blanc ne te vas pas bien.藤原淳著『パリジェンヌはすっぴんがお好き』(2024年5月、ダイヤモンド社刊)を開いてすぐに、「『似合わないわよ』と面と向かって言われたのはありがたいこと」という項目が目に入った。そして、…

【詩】「パリにて、風の吹きすさぶ秋の夜」

「パリにて、風の吹きすさぶ秋の夜」At Paris, just after dark one gusty evening in the autumn of___と書くと、あまりに漠然としている。具体的にいえば、フォブール・サンジェルマンデュノ通り三十三番地四階のおれの、小さな書庫兼書斎で、おれは日本人…

【詩】「性」

「性」性というのは、当然生殖のことである。子孫を増やすため、生殖する。しかし、人間は精神というものを持ってしまった。昆虫のように、深海魚のように、「無私」でできない。人類最大の不幸。どんな人間にも、ロマン=快感がいる。その昔、小倉駅前に「…

【詩】「父の日」

「父の日」6月16日は、ユリシーズの日ではなく、父の日だった。どうせ母の日のついでに商業主義が作った記念日だろう。母の日といえば、カーネーションを贈るのが定番となっている。父の日は、食い物だとか、お酒だとか、洋服だとかいろいろ。母が、「お…

【Poème】

【poème】Tra un fiore colto e l'altro donatoI'inesprimibile nulla(Giuseppe Ungaretti "Eterno")elle viennentautres et pareilesavec chacune c'est autre et c'est pareilavec chacune l'absence d'amour est autreavec chacune l'absence d'amour es…

【詩】「花論」

「花論」花々が咲く異なっていて同じであるそれぞれ 別の花であり同じ花であるそれぞれ 匂いは異なっているそれぞれ 匂いは同じだベケットを真似たこの詩に欠けている言葉を足して

Frnçoise Hardy 死去

Françoise Hardy 死去 "Tirez pas sur l'ambulance !Je suis déjà à genoux."(「救急車を撃たないで! あたしはもう跪いてるんだから」) ……そんな歌詞が口をついて出る。 Prier pour l'âme.(冥福を祈る)

細田傳造の詩を「ちゃんと」(笑)読む

「細田傳造の詩を「ちゃんと」(笑)読む」「ディック」(『納屋』1号)──「ミネ」なのかべつの人なのか。細田はテキトーなことを書いているふりして、ほんとうのことしか書かない。しかし意味は「隠されている」。宝さがしのおもしろさ。宝をさがしていく…

【詩】「挽歌」

「挽歌」詩というものは、だいたいにおいて、でたらめである。とくに定型でない詩は、言葉が従わねばならない規律などなにもないのであるから。ただ単に抽象的な言葉を連ねたものを詩と信じる人々がいて、とくに商品ではないのだから、その人のご自由である…

【詩】「ボヴァリー夫人、あるいは、絶望という名の電車」

「ボヴァリー夫人、あるいは、絶望という名の電車」Nous étions à l'Étude, quand le Proviseur entra, suivi d'un nouveau habillé en bourgeois et d'un garçon de classe qui portait un pupitre.ぼくらが自習にいると、校長先生がブルジョワの新入りと勉…

最果タヒ詩集『恋と誤解された夕焼け』

最果タヒ詩集『恋と誤解された夕焼け』(2024年5月30日、新潮社刊)「鯉と誤解されたナマズ」なんて言葉がふいに口をついて出た、誰もいない海。いい日旅立ち、山口百恵さん息子さんの結婚式はどこ?週刊誌記者がつきまとうから「放課後婚」(←本詩集所収の…

【詩】「あるいは、絶望という名の流星」

「あるいは、絶望という名の流星」「ここから入る者は、あらゆる希望を捨てよ」(ダンテ)ひとは完全なる無音の部屋に閉じ込められると、気が狂うそうである。芥川也寸史が『音楽の基礎』で書いていた。ラカンの顔写真を見ると、薄っぺらで饒舌な司会者のよ…

石川淳「西游日錄」

石川淳「西游日錄」(石川淳選集第十七巻所収) 吉田健一が、文学は楽しむためにあり、それを否定して鹿爪らし構えて読むのはつまらない、それが紀行文だからろいって軽視するに及ばず、てなことを『文学の楽しみ』で書いている。 和漢洋の教養に通じた石川…