現象の奥へ

Entries from 2024-04-01 to 1 month

【俳句】「倫敦塔」

【俳句】 倫敦塔漱石探す聖夜かな

【鉛筆画】「枯れていく紫蘭」

【鉛筆画】「枯れていく紫蘭」 荒木一郎の『君に捧げるほろ苦いブルース』を思い出す、枯れていく紫蘭を描いてみた。Bye Bye まだ、夢のようさBye Bye 君、ドアの外の気に入りの紫蘭の花昨日の朝枯れたよ

【詩】「ブラッサイ、あるいは、秘部という名の宇宙」

「ブラッサイ、あるいは、秘部という名の宇宙」 駅の二階の出口は各通りへと続く歩道橋になっている。 そのすぐ出たところは植え込みになっていて、コンクリートの、 ちょっとした囲いがあり、それは、ちょっと腰掛けて座るのにちょうどいい。その一角に陣取…

詩集『ボードレールのために』発売のお知らせ

山下晴代 第19詩集『ボードレールのために』発売。 寄贈なし。 お求めはこちら↓ http://www.seichoku.com/item/DS2006218

蓮實重彥著『物語批判序説』

蓮實重彥著『物語批判序説』(1985年中央公論社刊) 読み返すことはない座右の書である(笑)。お得意の推理小説口調でありながら格調高い、「物語的にいえば」、矛盾するとも言える文体で、専門(博士論文?)のフローベールを中心に、近現代のフランス…

【詩】「闇と書物」

「闇と書物」闇と書物。それはボルヘスのテーマだった。暗い岸に漕ぎ着けて、生い茂る蘆の中を進み、やがて、神殿あとの廃墟に到り、祈りを捧げたあと、そのものは思い出すだろう。おのれが闇であったことを。そして書物は燃え尽きたことを。難解さを抱きし…

「春雨」

【春雨】旅人やかき乱されし春の雨

「春雷」

【春雷】春雷や異国で知つたキスの味

「春の夜」

【春の夜】 ずたずたの心かかえて春の夜

「万緑」

【万緑】万緑の中や吾子の歯生え初むる(草田男)万緑になじむ風鈴夜も昼も(蛇笏)万緑の言葉浮かびて今は春(山下)

【詩】「ボードレールのために」

「ボードレールのために」坂本龍一にはそれほど関心がなかったけれど、先日、氏が死に至るまでのドキュメンタリーをNHKで放送した。食事の後片付けをしながら流していると、しだいに引き込まれた。それは癌の末期、ほんとうに死との戦いを、克明に映しだ…

【演劇】「スウィーニー・トッド」

『スウィニー・トッド』 宮澤エマは、元首相の宮沢喜一のお孫さんで、お父さんはアメリカ人でアメリカの大学を出て良家の教養ある娘さんで、なんで芸能人になったのだろう? と思っていたら、昨日「徹子の部屋」(笑)に出てデビューまでのことを話していた…

【俳句】「古句をめぐって」

「古句をめぐって」 ひよどりの虻とりに来るさくらかな(細石)花にあそぶ虻な食ひそ友雀(芭蕉)名前なき古句が散りゆく花見かな(山下)

【詩】「Merry Christmas, Mr. Lawrence」

(2023.12.6に発表したものの再掲載) 「Merry Christmas, Mr. Lawrence」 記憶のなかからよみがえってくる生の すなつぶ。 スペインの最北端の 海からつづく天然のいけす のなかで泳いでいた何匹もの魚影、 それは「平家物語」に フォーカスする 鱸(すずき…

「源氏物語─The sonnets15」 「蓬生(よもぎふ)、あるいは重力の涙」 宣長『源氏物語年紀考』にて曰く、 この巻は常陸宮の姫君の事を始終(もはら) かける故に、始は源氏の君廿六歳、 須磨浦へ左遷の比より書出して、 (京に)帰給て後廿九歳の四月に此姫…

『オッペンハイマー』(クリストファー・ノーラン監督)

『オッペンハイマー』(クリストファー・ノーラン監督) ノーランの作品は、倒叙形式が新鮮だった、『メメント』をはじめ、『インソムニア』『ダークナイト』『インターステラー』『ダンケルク』など、ほとんど見ている。この監督は、映像的手法の天才スピル…