Entries from 2021-01-01 to 1 year
「ロミオとジュリエット」 炎のかげに潜む欲情を恋人たちは、 まだ知らない。 指と指がつくる門を くぐれば罪が洗われる、お返しは、 もうひとつの口づけ。 二度と会えぬ死へと押し出される、 運命のきらめき。そう、わたしたちは、 そのカップルほど若くは…
「王」 かつて、蛙であったもの、 小屋で窒息させられ、 少女とともに、餓死させられ、 それでも蘇るとしたら、 それは概念の合成で、王と、 神が、合体させられている。 人間を許し給え、伝説の濃さで、 歴史を塗り込めれば、犠牲の山羊が王としてよみがえ…
『キングスマン:ファースト・エージェント』(マシュー・ヴォーン監督、2020年、原題『THE KING'S MAN 』) 公費を使いまくって、テキトーにかっこつけてる、「殺しのライセンス」を持つスパイの時代は、完全に終わって(なにしろ本人死んでるし、子ど…
「外伝」 それはむかしむかし、葦の葉をより分け、 すすんだ記憶もかなたへ消えかけた夜、 ひとり岸におりたって、おとこを知らぬおとめが、 身ごもったといううわさ、 は、ひとびとの気持ちを、なぜか、 明るくさせた。 奴隷たちのことばさえまだ、成立して…
「物語」 勧善懲悪の思想を教えるものでなく、 仏法を説くものでなく、教訓を旨とするものではない。 ひとの情のありのままを記して、ひとの情とはこういうものだと知らせる。 ひとの情を知るとは、あはれを知ることであり、 つまり物語を読むとは、もののあ…
『ダーク・ウォーターズ 巨大企業が恐れた男』(トッド・ヘインズ監督、 2019年、原題『DARK WATERS 』) 本作は、単純な公害告発映画ではない。公害被害者の写真を撮って、世界に発表、訴訟、政府による断罪、で、終わりではない。企業が垂れ流す毒にもいろ…
「篝火(かがりび)」 ぼくはこの箇所がいちばんすきなんだ、 あなたはいきなり言った、サイデンステッカー英訳二巻本の一、 Chapter 27、Flaresの部分を開いて、 They burn, these flares and my heart, and send off smoke. The smoke from my heart refus…
『ワン・プラス・ワン』(ジャン=リュック・ゴダール監督、 1968年、原題『ONE PLUS ONE/SYMPATHY FOR THE DEVIL 』 「Yahoo!映画の解説/ストーンズの録音風景に、革命をテーマにした記録フィルムをかぶせたドキュメンタリー。」 ↑まったく違う(笑)。ドキ…
「源氏物語」 なにかを出すまえに出す物語。 奥に隠されているのは蛍、 の舞う漆黒の欲望。 ソネットでなければならず、葬られなければならず、 十手先を読むAIの世界の殺人。 哀しいのか欲しいのか、女の名は隠され、 ただ、風の音にあなたの愛を読む。 死…
【昔の引用@拙HP】 「この時期(68年から72年にかけて)、しばらく商業映画から撤退していたゴダールは、複雑さが単純さといささかも矛盾しないことを身をもって生きぬいてみせた。そのことゆえに、この映画作家は、今日なおも旺盛な作家活動を行っているの…
『ドント・ルック・アップ』(アダム・マッケイ監督、 2021年、原題『DON'T LOOK UP』) 確かに「物語」には新しさはないかもしれない。「地球最後の日」という物語である。しかし、この「プラネット」には、ネットがあり、IT企業があり、拝金主義があり、で…
「ねぶか」 マンションの通路でお向かいの奥さんから 「ねぎいりませんか?」 と言われ、 「いります」と答えた、 なんでも山梨の叔父さんの家庭菜園で取れたねぎを、ねぎばかり どっさり送ってきて、それも今回二回目で 困っているとか。 もらっていただき…
「固有名」 「人物の名を語ること、それは顔を表現することである。ありとあらゆる名詞や常套句の只中にあって、固有名は意味の解体に抵抗し、私たちの発語を支えてくれるのではないだろうか」(エマニュエル・レヴィナス『固有名』合田正人訳、みすず書房)…
「くま」 くまという動物は、まことにかわいそうな動物だ。テディベアなどといって、愛玩用おもちゃにもなっているけど、SNSで流れてくるのは、十数年小さな檻に閉じ困られていて、はじめて野原に出た、とか、こういうかわいそうなくまはまだたくさんいるの…
「アマテラス」 あの日ローマでえー 眺めた月が今日は 都の空照らす アマテラス 新嘗祭のかしこどころ 天皇はひとり入ってく お付きたちは外で待つ 寒い夜には鴨鍋が ありがたいのよ、さっきまで 皇居の池にいたやつだ。 さて、かしこどころを入ると、 かが…
『カオス・ウォーキング』(ダグ・リーマン監督、2021年、原題『CHAOS WALKING』 まず、『未知との遭遇』を観てないと、この映画の最高に美しい場面を見逃すし、見ても意味がわからない(笑)。ハンパな「映画通」のジジイには、理解できねーだろーなー(爆…
母山下みゆきの水彩画、カーネーション、新境地!
「蘭を焼く」 たしか瀬戸内晴美時代の作に、 「蘭を焼く」なる作品があった。 官能的な作であった。 その後、大杉栄や伊藤野枝、岡本かの子などの伝記物を書いて、 それから、「男遊びは散々したので未練はない」と今東光指導のもとに、天台宗僧侶の修行をし…
「吉本隆明とは何者だったのか?」 21年前に、こう書いていた↓拙HPに(今は表示していないが) http://www.mars.dti.ne.jp/~rukibo/ そして、フーコーとの「対談」では、恥ずかしながら、論破されている、というより、おのれの恥を晒している。しかし、その…
『パワー・オブ・ザ・ドッグ』(ジェーン・カンピオン監督、 2021年、原題『THE POWER OF THE DOG』 実際、この映画は、本来短編の味わいの作品である。章立てされているので、多少なりともすっきり見えるが。ミスディレクションの趣もあり、「完全犯罪」な…
ベイクドアップルのデザートが大きな顔をしている夕食。
『モスル~あるSWAT部隊の戦い~』(マシュー・マイケル・カーナハン監督、2019年、原題『MOSUL』) 本作は、リドリー・スコットが20年前に撮った、『ブラックフォーク・ダウン』(2001年)を思わせる。ほとんどがれきの戦場だけが舞台であり、出てくるのは…
「映画は1秒間に24コマの真実である」(ジャン・リュック・ゴダール)
『フォーリング 50年間の思い出』(ヴィゴ・モーテンセン監督、 2020年、原題『 FALLING 』 ヴィゴ・モーテンセンショーである。自分と実の父との関係とも重なっているとか。60過ぎているモーテンセンは相変わらす美しく、今はやりの、LGBTQや「多様性…
ボージョレー・ヌーボーな夕食。
「突然のクリステヴァ」 井筒俊彦の高野山にての講演のCDを 犬の散歩どきに聴いて、 もう何度になるか。 題して「言語哲学としての真言」 エソテリシズム エソテリック 密教 密 いっさいのアウトサイダーを拒む わたくし(井筒)は、 外側から一部覗き見た…
「恋」 戀の至極は忍戀と見立て候、逢ひてからは戀の丈が低し、一生忍んで思ひ死する事こそ戀の本意なれ。─『葉隠』「聞書第二」 瀬戸内死んで 真子さんは小室圭さんと NYへ。 ここに日本国の恋は終わる。 あとはもぬけの殻の ゲーム。男だろうと女だろう…
瀬戸内晴美の最高傑作、『美は乱調にあり』大杉栄、伊藤野枝の愛の物語。
「夜のみだらな鳥さえも超えて」 孤児院が舞台の その小説。 障害とか差別とか資産家とか 修道女とか 聖書とか 闇とか 妄想とか まるでコロナ世界を 表現したような。 そう唖 などと言ってしまっていいのか。 ムラートとかいう名前だった? 軍事政権のチリだ…
HP更新! きてね。 www.mars.dti.ne.jp