現象の奥へ

昔の引用@拙HP

【昔の引用@拙HP】

 

「この時期(68年から72年にかけて)、しばらく商業映画から撤退していたゴダールは、複雑さが単純さといささかも矛盾しないことを身をもって生きぬいてみせた。そのことゆえに、この映画作家は、今日なおも旺盛な作家活動を行っているのである。それは、芸術家としての彼が、間違っても文化人として振る舞うことがなかったからである。文化の退屈さは、誰もが複雑さと単純さの差異を、ごく当然のものとし確信していることからくる。芸術は、この確信を撃ち、文化を揺るがせる」(蓮實重彥『映画狂人日記河出書房新社、2000年3月24日刊、より)