現象の奥へ

【詩】「源氏物語」

源氏物語

 

なにかを出すまえに出す物語。

奥に隠されているのは蛍、

の舞う漆黒の欲望。

ソネットでなければならず、葬られなければならず、

十手先を読むAIの世界の殺人。

哀しいのか欲しいのか、女の名は隠され、

ただ、風の音にあなたの愛を読む。

死児であったり怨霊であったり、宇宙はしらず、

道長が侵入して盗むは式部の原稿。

さきを、さきを、さきを読みたし。

季吟はかたちをととのえ、火をもて集まりたるひとびとに、

すでに源氏なき世界の。

空疎などをロリータ。

ひめ、音だけでできた、LO。