現象の奥へ

『ワン・プラス・ワン 』──革命的な、あまりに革命的な!(★★★★★)

『ワン・プラス・ワン』(ジャン=リュック・ゴダール監督、 1968年、原題『ONE PLUS ONE/SYMPATHY FOR THE DEVIL 』

Yahoo!映画の解説/ストーンズの録音風景に、革命をテーマにした記録フィルムをかぶせたドキュメンタリー。」

 

↑まったく違う(笑)。ドキュメンタリーで、子どもがポルノショップへ出入りし、アジビラをもらうか(笑)。

 

 本作は、ゴダールの映画史のなかでも、もっとも政治的な季節に撮られた「アジビラ」としての映画である。

ゴダール自身が言っているように、「十月革命から十年後の今日、アメリカ映画が世界中の映画を支配している」('67年『中国女』のプレスブックより)状況は、今(2021年12月時点)も変わらず、人々を、そのような視点(評価)でしか映画を見ない。むかしよりその状況は進んでいるような気がする。

 

 ゴダールの映画史は、

①カイエ時代(1950年〜1959年、評論を書きまくっていた)

②カリーナ時代(1960年〜1967年)

毛沢東時代(1967年〜1974年)

④ビデオ時代(1975年〜1980年)

⑤八〇年代(1980年〜1985年)

 

 というように、その時代と切り結ぶしかたで、創作を提示している。

本作は、そのうちの、③毛沢東時代、五月革命への行動として作られている。ゆえに、スペクタクルであろうとはしていない。そういう見方をして、ケチをつけてみても、それは、ハイデガーが全然面白い物語を提示してくれないと文句をつくけているようなものである。にもかかわらず、美しい映像を提示している。ローリング・ストーンズの、『Sympathy for the Devil』(日本語訳は、『悪魔を憐れむ歌』)という曲を通奏低音のように使用し、子どもから黒人運動家までが、革命的であろうとしている。ま、そういう映画もあるのである。勉強しなければ、理解できない映画もね、そこの、映画愛好家ジーチャン(爆)!

 初上映は、1968年11月にロンドンで行われたが、日本に来たのは、10年後である。なんちゅうか、本中華(笑)。