現象の奥へ

Entries from 2023-03-01 to 1 month

【詩】「ドゥルーズの『映画』」

「ドゥルーズの『映画』」Les grands auteurs de cinéma nous ont semblé confrontables, non seulment à des peintres, des architectes, des musiciens, mais aussi à des penseurs.Ils pensent avec des images-mouvement, et des images-temps, au lieu …

【詩】「戀」

「戀」生まれてくるのが早すぎた、のか、塚本邦雄は辛くて深い沼のなかで呻吟し、六百番歌わせの批評、詩、小説の一体化した本を作ってしまった。いまでは、LGBTなどもNHKで楽しく歌われている。しかし、家族を持ってしまった氏は、闇に翻弄されるがままにな…

【詩】「革命のエクリチュール」

「革命のエクリチュール」 T.S.エリオットは、ボードレールは、散文の方がよい、と書いている。ボードレールの詩は、その時代には進みすぎて、まだほんとうに理解されなかった──。詩どころか、ボードレールそのひとも理解されなかった。すでに革命ははじまっ…

【詩】「バルト『表徴の帝国』」

「バルト『表徴の帝国』」自室の足下に落ちていた、バルト全集第三巻、ポストイットを引っ張れば、L'Empire des signesひょうちょうのていこくすばらしき訳なり。きごう、というより、むしろ。ひょうちょうのていこく、とくりかえす。ひょうちょう。「テクス…

大江健三郎そして大江健三郎

【大江健三郎そして大江健三郎】 1969年以降の大江健三郎の作品は、ほとんどが、題名も含めて詩であると、当方は考える。詩への嗜好、嗜好、思考は、1969年初出の『われらの狂気を生き延びる道を教えよ』は、それがテーマだといっていいくらい表出されている…

【詩】「ジュリア・クリステヴァ『詩的言語の革命』」

【詩】「ジュリア・クリステヴァ著『詩的言語の革命』」 完璧な辞書が存在するという 思い違い、 あらゆる知覚、 言語、 抽象的観念 に対して、 それらに対応する 記号を 辞書のうちに見いだしうる という考えは 錯誤であると、 ホワイトヘッドは言っている…

【詩】「若き宣長と源氏というテクスト」

「若き宣長と源氏というテクスト」すでに時は過ぎ、誰も、自由に源氏を読むことはできず、夥しい註釈の森で、十九歳の宣長は、式部を追って、深みに入る。それはちょうど、ニーチェがテクストの森に足を踏み入れたごとく。まずは男に書かせたる物語を、その…

【詩】「ジュリア・クリステヴァ『詩的言語の革命』」

【詩】「ジュリア・クリステヴァ著『詩的言語の革命』」 完璧な辞書が存在するという 思い違い、 あらゆる知覚、 言語、 抽象的観念 に対して、 それらに対応する 記号を 辞書のうちに見いだしうる という考えは 錯誤であると、 ホワイトヘッドは言っている…

【詩】「ジュリア・クリステヴァ『詩的言語の革命』」

【詩】「ジュリア・クリステヴァ著『詩的言語の革命』」 完璧な辞書が存在するという 思い違い、 あらゆる知覚、 言語、 抽象的観念 に対して、 それらに対応する 記号を 辞書のうちに見いだしうる という考えは 錯誤であると、 ホワイトヘッドは言っている…

【詩集】江夏名枝『あわいつみ』(澪標、2020年刊)

江夏名枝『あわいつみ』(澪標、2020年10月10日刊)40ページのなかに散らされた「ことば」は、一行の時もあり、数行の時もある。アフォリズムほど力強くない「ことば」が「落とされている」ような。カバーは淡い紫色。遊び紙が淡い黄色の高級そうな紙。半透…

『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』(ダニエル・クワン、ダニエル・シャイナート監督)──映画の時代が終わったあとの新生映画(★★★★★)

『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』(ダニエル・クワン、ダニエル・シャイナート監督)──映画の時代が終わったあとの新生映画(★★★★★) すでに映画の時代は終わり、もう感動とか物語とか、かっこいい美形のヒーロー、ヒロインで、観客…

【詩】「ダンテ」

「ダンテ」うとうとしていたら、ダンテが夢に現れて、日本語で言うのだった──こら、おまえ、わたしの経験によれば、詩の鑑賞はその詩人や仕事について、知らなければ知らないほど、理解できるものなんだ。だからさ、その詩人について、歴史的背景などをよお…

【詩】「梅」

「梅」暮ると明くと目かれぬものを梅の花いつの人間(ま)にうつろひぬらむ (紀貫之)われらが「古今」から学ぶは郷愁、惜しむきもち。死ぬまで繰り返される一年の、その尊さの飽き。梅を女とみて。夜のなかに香しさを堪能する、ここはどこでもない、あなた…

【詩】「異邦人」

「異邦人」メールデセデ、オンテールマン、ドゥマン。サンティマン、ディスタンゲ。文面の素っ気なさが太陽の照り返しにすべての物語がすでに終わったことを告げていた。おれは渋った顔の上司に休暇をもらい、出かけた。どこへ? 老人ホームのある場所へ。そ…

ポール・ド・マン著『読むことのアレゴリー』

ポール・ド・マン『読むことのアレゴリー』(土田知則訳、2022年12月、講談社学術文庫。もとの本は2012年岩波書店)──著者は「脱構築」を理解していない フランスで「現代思想」(というジャンルで括っているのは日本だけとか)がはやり(はやっていたのも、…

蓮實重彥著『ゴダール革命』(2023年2月、筑摩書房刊)

蓮實重彥著『ゴダール革命』(2023年2月10日、筑摩書房刊)──どうするゴダール? 特別新しい本ではなく、2005年に出た本の増補版である。「どうすればよいのか」。人は優れてゴダール的ともいえるこのつぶやきを、処理しがたい難問を前にしてみだりに口にし…

スピルバーグ監督『フェイブルマンズ』

『フェイブルマンズ』(スティーブン・スピルバーグ監督、THE FABELMANS)──映画の時代の終わりを察知した作りになっている。 映画館で映画を観るという時代は、いまはなくなってないが、すでに終わっている。新型コロナに端を発する、そして戦争や事件や政…