現象の奥へ

【詩集】江夏名枝『あわいつみ』(澪標、2020年刊)

江夏名枝『あわいつみ』(澪標、2020年10月10日刊)

40ページのなかに散らされた「ことば」は、一行の時もあり、数行の時もある。アフォリズムほど力強くない「ことば」が「落とされている」ような。カバーは淡い紫色。遊び紙が淡い黄色の高級そうな紙。半透明の外カバー。
そういう「意匠」である。これは、哲学にまで達していない、意味ありげ風な意匠で、今書かれている「現代詩」(国際的な用語ではなく、某社が創り出した言葉ではないか。普通日本の歴史の中で、詩といえば漢詩のことであり、西洋近代詩から輸入されたものなら、定型詩に対する、自由詩というものがある)は、ほとんど意匠である。B6版。はたして、印刷代はおいくら? あるいは、企画本? などと下世話なことを思ってしまう。私にはじめての名前であったが、あるいは、有名な人なのかもしれない。誰かが口走っていたような気がして、Amazonで、「あと二冊」とあったので、ふと買ってみた。それだけの話。
この程度なら、「ヒゲだん」の歌詞の方がよほどしゃれた意匠である。