現象の奥へ

Entries from 2023-01-01 to 1 year

【詩】「源氏物語─The sonnets」12

「源氏物語─The sonnets」12」 「須磨、あるいはHélas pour moi(エラース・プル・モア(なんてこった!)」 源氏廿六歳の春より廿七歳の春までの事見えたり 宣長「源氏物語年紀考」にて記す わくらばに問ふ人あらば須磨の浦にもしほ垂れつつわぶと答へよ 業…

【詩】「源氏物語─The sonnets」12

「源氏物語─The sonnets」12」 「須磨、あるいはHélas pour moi(エラース・プル・モア(なんてこった!)」 源氏廿六歳の春より廿七歳の春までの事見えたり 宣長「源氏物語年紀考」にて記す わくらばに問ふ人あらば須磨の浦にもしほ垂れつつわぶと答へよ 業…

【けふの低糖質晩ご飯】「ストーブがあれば」

【けふの低糖質晩ご飯】「ストーブがあれば」おばあちゃん、おばあちゃん、ストーブといっても、あの暖房器のストーブじゃないんですよ。フレンチの鍋です。重いけど場所を取らない。蓋で内部は圧力鍋状態。これで、ご飯を炊いたり、焼き芋を作ったり、煮物…

三木清の「シェストフ的不安について」

三木清の「シェストフ的不安について」シェストフの『悲劇の哲学』を古本屋で求めて長い間積ん読状態だったが、三木清の文芸批評集の目次を見ていて、シェストフという名前があったので、やっと積ん読状態から救い出した。この本は、高一の時演劇部の顧問だ…

【詩】「不安」

「不安」不安は現実そのものである。力を持って形而上学と戦う。かつて、ドストエフスキーが地下室で戦ったように。かつて、ハイデガーが世界を構築したように。それらは、むくむくと宇宙のなかで沸き起こる闇よりも暗い、精神よりも深い、ボルヘスの恋人は…

【12月17日天声人語】(朝日新聞名古屋本社版)

【12月17日天声人語】(朝日新聞名古屋本社版)どんなりっぱな書物、あるいは文章でも、それを読んで共感し、「まるで自分が考えたかのように」あるいは、「さらに高みに立って」、それは正しいと判断を下し。これを読め。などと主張しがちな読者がなんと多…

『ウォンカとチョコレート工場のはじまり』(ポール・キング監督)(★★★★★)

『ウォンカとチョコレート工場のはじまり』(ポール・キング監督)(★★★★★)ティモシー・シャラメが出るなら、三度のご飯を抜いても駆けつけるぞ〜ってなもんで本当は、『ナポレオン』より先に見るはずだったが、時間の都合と、『ナポレオン』は早く終わりそ…

『ナポレオン』(リドリー・スコット監督)(★)

『ナポレオン』(リドリー・スコット監督)(★←星付けなど今更意味ないが、映画にはこの評価が似合う)映画は役者できまる。私は役者に関心がある。ゆえに、いくらヒットしようと賞をとろうと、アニメには関心がない。ホアキン・フェニックスとリドリー・ス…

「源氏物語─The sonnets」11

「源氏物語─The sonnets」11 「花散里(はなちるさと)、あるいは裏切りという名の雨」 雨が、せおいきれない苦悩を むらがりよせ、きみの顔を消していく 古歌に染みこんだ怨念が 幾度もわたしを襲う、もう あきらめてしまおう。きみを 思うことは、どうせ …

【詩】「Merry Christmas, Mr. Lawrence」

「Merry Christmas, Mr. Lawrence」記憶のなかからよみがえってくる生のすなつぶ。スペインの最北端の海からつづく天然のいけすのなかで泳いでいた何匹もの魚影、それは「平家物語」にフォーカスする鱸(すずき)。いつか「平家物語」という詩集をつくろう。…

【短編を読む】林芙美子「晩菊」

【短編を読む】林芙美子「晩菊」(四百字詰め約40枚、初出「別冊文藝春秋」昭和23年11月第9号)張りとほす女の意地や藍ゆかた (杉田久女)On ne naît pas femme: on le devient. (Simone de Beauvoir "Le deuxième sexe,Ⅱ")(ひとは女に生まれない。女にな…

「源氏物語─The sonnets」10」 「賢木(さかき)、あるいは物語が断片の集合のわけ」

「源氏物語─The sonnets」10」「賢木(さかき)、あるいは物語が断片の集合のわけ」「源氏二十三歳の九月より、二十五歳の夏迄の事見えたり」と宣長『源氏物語年紀考』にしるす。少女子(をとめこ)があたりと思へばさか木葉の香をなつかしみとめてこそおれ…

林達夫の「歌舞伎劇に関するある考察」

林達夫の「歌舞伎劇に関するある考察」(1918年初出、四百字詰め約66枚)NHK大河の『どうする家康』は、NHKが総力をかけて制作しているらしく、見るにたる細部を備えているので、続けて見ている。家康は、「いくさなき世」を目指して、事実徳川時代は300年続…

真船豊『太陽の子』

真船豊『太陽の子』(昭和11年2月)戯曲よむ冬夜の食器浸けしまゝ 杉田久女 この句を知ったのは、私が高校一年、演劇部の顧問の黒川喜七先生が教えてくれたのだった。先生は、「小説を読む」のではなく、戯曲というところがいいのだとおっしゃった。私が2年…

日本の秋 Autumn in Japan

日本の秋、柿、りんご、みかん。autumn in Japan, kaki(persimmon), apple, mandarin.

「ハムレット」文学座の江守徹の白いタイツが表す曲線が四十年前のハムレットである。そのあとだいぶあとになってから狂言役者のだれそれ名前忘れた、わりと小顔の二枚目、狂言の家の名字がついていた、その役者は板状の装置から顔を覗かせて、狂ったふりを…

「花田清輝の『探偵小説論』(『さまざまな戦後』所収)」

「花田清輝の『探偵小説論』(『さまざまな戦後』所収)」論理というものに対する論考である。ポーの探偵小説がいかに論理というものを理解しているか、「いま」(花田が書いている当時であるが、1930年代と思われる)の探偵小説家がいかに表層的論理に終始…

HP更新

HP更新。レンタルでなく、25年前から自分で作成しています。きてね。 www.mars.dti.ne.jp

ボードレールの『悪の華』

ボードレールのただ一冊の詩集。ガリマールの文庫。安い。ミシェル・ピコリのしわがれた声での朗読を聞きながら眠る夜。こんな風にはじまる……AU LECTEURLa sottise, l'erreur, le péché, la lésine, Occupent nos esprits et traillent nos corps,Et nous al…

色鉛筆画『槿(むくげ』

色鉛筆画『槿(むくげ)』

いわゆるひとつのジャニーズ問題

ジャニーズ事務所の資産は、1400万人のファンクラブ。イーロン・マスクが買い取り、社名を「Y」としたらどーかね?

妹小林貴子の個展@喫茶「FORME」

妹小林貴子の個展開催中の、愛知県豊橋市の喫茶店「Forme」は、その名の通り、昔から展示してる絵画や写真も店の一部としている、雰囲気も形式も、内容も、レトロなお店。店内はクラシックの曲が、低い音量で流されている。メニューは、コーヒーくらいしかな…

山下晴代第18詩集『あなた自身のためのサバイバル・キット』

山下晴代代18詩集『アナタ自身のためのサバイバル・キット』 いま、生きることは、サバイバルすること。生きづらいと思っているあなたに贈る、 サバイバル・キット。 ご購入はこちら↓ https://www.seichoku.com/item/DS2005652

フィレンツェにて。

フィレンツェにて。

【詩】「地獄は待ってくれる」

「地獄は待ってくれる」日本の書物でありながら、日本の誰もが読めなくなっていた古事記と取り組み、これは神話ではなく、まぎれもない古代人の実生活だと思いいたった本居宣長は、どこの森かはわからぬが、昏い森に迷い込み、そこで、師、契沖に出会った。…

【詩】「ラカン」

「ラカン」想像界、象徴界、抑圧、浸透、自己主張、作り話、反復脅迫、意味表現、連鎖、中心から離れた場所──わかったふりしてるあなた。やさしくみえる詩より難しくみえる詩の方がすきなあなた。Und wenn es uns glückt,首尾が上々でジョブズみたいに、自分…

【詩】「日本」

「日本」あいもかわらず政府はきれいごとを並べ、事柄をごり押ししていく。岸田の何かの文章を読んでいるような物言いはどうだ?バイデンの弱々しい老人特有の笑いはどうだ?NHKには、いったい、気象予報士は何百人いる?気象予報士の給与を発表しろ。政府に…

【詩】「被後見人が後見人になりたがる」

【詩】「被後見人が後見人になりたがる」ハントケの無言劇。高校生の時知った。その後、ハントケはノーベル賞を取った。いろいろの問題が取り沙汰された。サッカーを見るたびに、ハントケを思い出す。「不安──ペナルティキックを前にしたゴールキーパーの」…

【けふの格言20230820】

【けふの格言】Old soldiers never die; they only fade away.〔老兵は死なず、ただ消え去るのみ)(マッカーサーがトルーマン大統領によって、朝鮮戦争時、国連軍総司令官を解任された時、第一次世界大戦時に流行った流行歌を引用した。)

【詩】「ト書き」

「ト書き」シェークスピアの作品にはト書きがほとんどない。登場と退場があるだけだ。それというのも、エリザベス朝の舞台には照明が松明のあかりしかなく、薄暗かったから、こまごました装置はあってもしょうがなかった。少年が女性を演じ、それは、歌舞伎…