現象の奥へ

「源氏物語─The sonnets」11

源氏物語─The sonnets」11

「花散里(はなちるさと)、あるいは裏切りという名の雨」

 

雨が、せおいきれない苦悩を

むらがりよせ、きみの顔を消していく

古歌に染みこんだ怨念が

幾度もわたしを襲う、もう

あきらめてしまおう。きみを

思うことは、どうせ

なにかを消していく行為

橘の香をなつかしみほとゝぎす花散る里をたづねてぞとふ

 When forty winters shall besiege thy brow,

 And dig deep trenches in thy beauty’s field,

二人のパリ警視庁警視が争ったのは

愛、

に似たなにかだった──

36 Quai des Orfevres(オルフェーヴル河岸36番地)