現象の奥へ

エッセイ

アドルノ『プリズメン──文化批判と社会』

テオドール・W・アドルノ『プリズメン─文化批判と社会』(渡辺祐邦・三原弟平訳、ちくま学芸文庫)有名な、「アウシュヴィッツ以後、詩を書くことは野蛮である」という文章は、本書の「文化批判と社会」というエッセイのなかに含まれている。独立したアフォ…

ミス日本

みなさん、「ミス日本」です! 今どきミスコンなんてテレビのニュースでもやらない。流したところもあるかもしれないけど。1月22日にそのコンテストがあったとさ。あらわれた、「ミス日本」、カロリーヌ・シノさん、御年26しゃい。ウクライナから、5しゃいの…

三木清の「シェストフ的不安について」

三木清の「シェストフ的不安について」シェストフの『悲劇の哲学』を古本屋で求めて長い間積ん読状態だったが、三木清の文芸批評集の目次を見ていて、シェストフという名前があったので、やっと積ん読状態から救い出した。この本は、高一の時演劇部の顧問だ…

【12月17日天声人語】(朝日新聞名古屋本社版)

【12月17日天声人語】(朝日新聞名古屋本社版)どんなりっぱな書物、あるいは文章でも、それを読んで共感し、「まるで自分が考えたかのように」あるいは、「さらに高みに立って」、それは正しいと判断を下し。これを読め。などと主張しがちな読者がなんと多…

「花田清輝の『探偵小説論』(『さまざまな戦後』所収)」

「花田清輝の『探偵小説論』(『さまざまな戦後』所収)」論理というものに対する論考である。ポーの探偵小説がいかに論理というものを理解しているか、「いま」(花田が書いている当時であるが、1930年代と思われる)の探偵小説家がいかに表層的論理に終始…

平出隆『雷滴 その放下』(via wwalnuts)

平出隆『雷滴 その放下』(via wwalnuts)封書の形の詩集(?)であり、封書で届けてもらうか、普通の本のように、切手も消印もなく、無垢の封筒に入れて届けてもらうか、選ぶことができる。私は最後の一冊と書かれたものを、Amazonで見つけた。発行をもとを…

大江健三郎そして大江健三郎

【大江健三郎そして大江健三郎】 1969年以降の大江健三郎の作品は、ほとんどが、題名も含めて詩であると、当方は考える。詩への嗜好、嗜好、思考は、1969年初出の『われらの狂気を生き延びる道を教えよ』は、それがテーマだといっていいくらい表出されている…

「村上春樹のせかい?」

「村上春樹のせかい?」 アメリカ映画を観ていると、アメリカ人がいかに、セックスにこだわっているかがわかる。なにかのトラウマ?と言っていいくらい、問題になってくる。表面だって出ていなくても、セックスの重要さが下地になっていることが当然のように…

吉本隆明とは何者だったのか?

「吉本隆明とは何者だったのか?」 21年前に、こう書いていた↓拙HPに(今は表示していないが) http://www.mars.dti.ne.jp/~rukibo/ そして、フーコーとの「対談」では、恥ずかしながら、論破されている、というより、おのれの恥を晒している。しかし、その…

【エッセイ】「オリンピックは永久廃止を」

「オリンピックは永久廃止を」 Plutocracy(プルータクラシー)なる言葉がある。訳せば、「金権政治」。かつては、民主主義や共産主義、イスラム原理主義など、政治体制を表す言葉があったが、いまは、このプルータクラシー「金権主義」が大手を振っている。…

【短編を読む】「芝居がはねて」チェーホフ

【短編を読む】「芝居がはねて」チェーホフ、松下裕訳(チェーホフ全集(筑摩書房)第6巻所収、翻訳原稿にして約10枚) 母とともに「エヴゲーニー・オネーギン」の舞台を観た16歳の少女が、芝居の中の少女に影響されて、自室に戻って、衝動的に手紙を書…

【短編を読む】「ミイラとの論争」エドガー・アラン・ポー

【短編を読む】「ミイラとの論争」エドガー・アラン・ポー(翻訳原稿にして400字詰め40枚くらい) はじめ、「ミイラとの戦争」と読んでしまった。はたして、どんな戦争だろう? と思ったが、「論争」であった。少し面白くなくなったが、まあ、読み進んでみよ…

【同人誌『妃』22号、2020.09】

【同人誌『妃』22号、2020.09】 装丁が美しい。「一番高貴な詩の雑誌」がコピーである。自分で言うか(笑)?と思ったが、同人誌の名前はおろそかにできない。私は、二十代前半、誘われて、『グッドバイ』なる同人誌に入ったが、ぬあんと、それらの同人のう…

【旅の思い出、ニューヨーク】

【旅の思い出、ニューヨーク】 2001.9.11から5年後、2006年1月、貿易センタービル跡地の、「グラウンドゼロ」を訪れた。まだそこは、更地で、泥水が溜まっていた。広さは、ちょっとした街1個分に相当するかと思われた。新しい建物に向け工事中で、平地は、…

【旅の思い出、フィレンツェ」

【旅の思い出、フィレンツェ】2012年11月、『イタリア古寺巡礼』の和辻哲郎のあとを追って(?)、フィレンツェは、アルノ河岸のホテルに滞在した。この河は、 ダヴィンチ村から出てきた、レオナルドが洗濯したり(笑)、ダンテも親しんだ河で、歴史上のさま…

【エッセイ】「高見順」

「高見順」 ●高見順賞という詩のビッグな賞が終了した。大阪市がやっていた三好達治賞も終わった。わりあい華やかだった、資生堂提供の、花椿賞もとうに終わっていて、秋は、毎年詩集発刊のラッシュとなるのだが、さて、今後どうでしょうかね? もともと「詩…

【エッセイ】「『楢山節考』考」

「『楢山節考』考」 ●2018年8月28日に、「詩」として書いていたのがFBの「おせっかい」シリーズ(私が命名(笑))で回ってきた。読み返してみると、悪くないエッセイであるが、「詩」とジャンル分けしてあって愕然とした。これが詩ぃ〜?(爆) **** た…

【エッセイ】「記憶をたどれば……」

「記憶をたどれば……」 最近、今後の世界に関して新しい見方を提案している若い著者を見かけるので、そのなかの一人、落合陽一の著書を買ってみたのだが、いちばん新しいのはろくに開きもせずに、ブックオフ・オンラインに売ってしまって(笑、まー、読む意欲…

「有名人」伊藤比呂美様へ

「有名人」伊藤比呂美さまへ 伊藤比呂美さんが、Twitterで、以下のようなTweetを展開されていたのを、ついさっき知りました。私はブログが連動して表示する以外は、基本的にはTwitterを利用しておりません。あまりにも息の短いことしか書けず、しかも、点で…

言論統制的

伊藤比呂美著『道行きや!』という本(エッセイ集?)について、厳しい批評を数日前にAmazonに書き、その写しを、四つ持っているブログとFacebookに貼っておいた。なかで、Twitterと連動しているブログのTweetへの表示は削除しておいた。べつに隠すつもりも…

映画における「B級」とは?

ヨーロッパのホテルの星の数は、設備によって、自ら設定しているものだし、レストランの星によるランク付けは、ミシュランが勝手にやっているものである。そういうレイティングに似ている、「B級映画」であるが、今はそれほど使われなくなったとはいえ、往…

【エッセイ】「隠喩の終わり?」

「隠喩の終わり?」 The NewYork Review of Booksの3/22付のニュースレターで、1978年2月23日に、スーザン・ソンタグの『Disease as Political Metaphor』(『政治的隠喩としての病』)を掲載した、とあって、その全文(?)をタダで公開している。本になっ…