現象の奥へ

映画における「B級」とは?

 ヨーロッパのホテルの星の数は、設備によって、自ら設定しているものだし、レストランの星によるランク付けは、ミシュランが勝手にやっているものである。そういうレイティングに似ている、「B級映画」であるが、今はそれほど使われなくなったとはいえ、往年の映画ファンなどは、二流を目指している映画の総称のように使っている。しかしながら、その使用法は、本来的には間違いである。「B映画」という言葉がまずあり、A級は存在するが、C級はない。これは、ハリウッドの一角に、まだ貧しい映画会社がたくさんあった頃、二本立てで上映されていた(ある期間のみ)、本来的な映画Aピクチャーに、低予算の短い映画を付けていてそれを、Bピクチャーと呼んだのである、てなことを、その「Bピクチャー(だいたい「級」などと訳してしまうから誤用されてしまったのかも、日本では)」の歴史や、傑作まで、蓮實重彥が、『ハリウッド映画史講義』(1993年、筑摩書房)で詳しすぎるほど詳しく書いている。氏の文筆スタイルの特徴である、なんでも微に入り細に入りしないと気がすまない調子でこれでもかというほど書いている。だいたいは、上のような内容ながら、その「意味」はかなり複雑な歴史を背負っている。それで、グーグルで調べたようなすっきり感はない(笑)(私はグーグルはあまり利用しないが。本来蓄えていないような「知識」を知ったからといって、情報が過多になるだけで、結局は、脳内エントロピーへ向かうだけだから)
 アメリカでも、ここまでは知らずに、二流作品を「B級映画」と言ってしまう人は結構いるらしい。本書を読んで以来、まー、私なんかは、使わないようにはしていますが、詳しく説明しろ!と言われると、口ごもってしまうのである(笑)。ま、そーゆーことで、自分でよくわからない言葉は、自信満々に使わない方がいいかも(笑)。しかも勝手に解釈して、「C級映画」など言ってしまわないように……(爆)。芸術もへったくれもない昨今の映画状況では、もしかしたら「死語」かも、であるが。

 

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