「Claude Simonの『Le Palace(ル・パラス)』」
それは鳩が突然に現れる描写から始まり、人知れず赤ん坊を産む高貴な女性の生理的な状態の想像で終わる。
金井美恵子とか蓮實重彥が表面的に真似をしているかもしれないが、
当のシモンさえもしかしたら、オーストリアだったのかの作家、
トマス・ベルンハルトをパクっている
かもしれない。ベルンハルトの方が、
もっと論理的でひとつの作品になり得ている。
生半可なヌーボーロマンではない。
そこには、ひとの生があり、リアリティがある。しかし、
シモンにおいては、結局、
観念に襲われてしまっている。
悲しさ、悲惨さ、結局、おのれの感情を
下手な詩のように盛り込んでしまっている。
抽象的な詩を書き上げたと得意げな詩人も、そこから逃れることができない、
という失敗の刻印(笑)。