現象の奥へ

【詩】「Nathalie Sarraute の『ICI(ここ)』」

「Nathalie Sarraute の『ICI(ここ)』」


Ici(ここ)というのは、当然のことながら名詞ではない、

副詞である。なぜなら、

なんら実態はない。にもかかわらず、サロートは、それ、

について20章も書き続ける──。

人物でも、物でも、記憶でも

ないものが、

Colmater(ふさぐ)、どこを? 

Ici(ここ)。

ここってどこ?

Ici(ここ)。

Frêle(弱々しい)、voûté(アーチ型に曲がった)、

そいつがはめ込まれる(s'encastrer)、trou(穴)に。

ここには彼、しかいない、決闘。

最後のことば、Arcinmboldo(アルチンボルド)。スポーツカー?

 

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