現象の奥へ

【短編を読む】「ミイラとの論争」エドガー・アラン・ポー

【短編を読む】「ミイラとの論争」エドガー・アラン・ポー(翻訳原稿にして400字詰め40枚くらい)


 はじめ、「ミイラとの戦争」と読んでしまった。はたして、どんな戦争だろう? と思ったが、「論争」であった。少し面白くなくなったが、まあ、読み進んでみよう。

 エジプトの某所で発見されたミイラが、個人宅に運ばれ、「私」もそこへ呼ばれ、棺の箱を開けると、また箱があり、ロシア土産のなんとか人形のようになっている……とか思いきや、三つ目あたりの箱からミイラが出てくる。普通ミイラというと、脳みそを抜いて、臓器も抜いて、作るが、このミイラにはそういう措置は施されていなくて、やがて、しゃべりだす。もちろん、古代エジプト語である。そして、ミイラを調べている「われわれ」数人も、その言葉に精通している。ほんまかよ? そして、この「ほんまかよ?」が延々と続けられ、ついにはミイラにいろいろ諭される。ほんまかよ? このミイラは、なんとか家のミイラで、その一族は、生きているうちにミイラを作る。ほんまかよ? そういうことが細部に渡ってまことしやかに語られる。やがて……「私」は帰宅し、そのまま寝につくが、女房は口やかましい女だし……うんざりして、ミイラにでもしてもらうかと……(笑)、そんなハナシを、よー考えるワ。エリオット・ポールの作品に、『ルーブルでちょこまか』みたいな題の作品があり、こちらは、ミイラの棺に盗んだ絵を隠して、ルーブル美術館から運び出す……みたいなストーリー? ペーパーバッグは持っているが、まだ読んでない。エリオット・ポールは、その時代のパリを生き生きと描いていると、吉田健一が推奨していた英語圏(イギリスかアメリカか、忘れた(笑))の作家である。