現象の奥へ

「源氏物語─The sonnets」10」 「賢木(さかき)、あるいは物語が断片の集合のわけ」

源氏物語─The sonnets」10」
「賢木(さかき)、あるいは物語が断片の集合のわけ」

「源氏二十三歳の九月より、二十五歳の夏迄の事見えたり」
宣長源氏物語年紀考』にしるす。
少女子(をとめこ)があたりと思へばさか木葉の香をなつかしみとめてこそおれ
本物語が断片によってできあがっているのは、
全体の構成などどうでもいい
刹那的な
官能をのみ
追った作品であるから
読者はさかきのみどりと
あおあおしいかほりを想像して
勝手によがる
哲学などどうでもいい。
 Pity the world, or else this glutton be,
To eat world's due, by the grave and thee.