現象の奥へ

【詩】「ロミオとジュリエット」

ロミオとジュリエット

 

炎のかげに潜む欲情を恋人たちは、

まだ知らない。

指と指がつくる門を

くぐれば罪が洗われる、お返しは、

もうひとつの口づけ。

二度と会えぬ死へと押し出される、

運命のきらめき。そう、わたしたちは、

そのカップルほど若くはなく、

弾丸が彼を貫いたとき、抱きかかえたのは私で、

すでにそのとき、断罪がなされていた。

彼はポケットのなかより、

指輪を出して、「手錠だ」

とつぶやいた。その刑事。

お許しください、神さま。