現象の奥へ

【詩】「アマテラス」

「アマテラス」

 

あの日ローマでえー

眺めた月が今日は

都の空照らす

アマテラス

新嘗祭のかしこどころ

天皇はひとり入ってく

お付きたちは外で待つ

寒い夜には鴨鍋が

ありがたいのよ、さっきまで

皇居の池にいたやつだ。

さて、かしこどころを入ると、

かがり火、屏風、そして

モニター。

そこに映し出される

おかめの面をつけたる着流しの

胸の膨らみは、乳房のようにも

筋肉のようにも見える

ところは、

レオナルド描く天使のようだ。

「おいはおまんの行動をどこまでも監視しちょるぞ」

アマテラスは言う。

わーーーーっと

たまらず飛び出す天皇

お付きの者たちは

こっくりこっくり舟を漕いでいる

飛び出しました

一般道路。そこへ

スピルバーグの撮影車

ちょっとあんた、

ぼくの映画にでーへん?

あんた誰?

知ってのスピルバーグ

あーっはははは……。

映画の題名は、『徳川家康

主演は、ダニエル・デイ・リュイス

えーーーっ

できるの〜?

ガイジンが家康を

できる。カレならなんでもできる。

で、ワタシは?

そうだな、きみには、

天皇を演じてもらおうか。

て、てんのう?

だって、おれ、モノホンの……

じゃあ、この車に乗ってくれたまえ!

あの日日本でえー眺めた、月が

今日は、コロナにさも似たり

変幻自在

突起を増やし

進化していく

ウイルスさんよ〜♪