現象の奥へ

【詩】「反復」

「反復」

奥羽長途の行脚只かりそめに思ひたちて、
はて先人にこころを重ねることはできるか?
同じ景色を見同じ言葉を書き付けても
こころは重ならず
滝の裏にまわりて
上梓までに五年をかける
日本海岸に先人のうたなく
ゆえに病を決め込む
曾良は河合氏(かはひうぢ)にして、
のところで、われに河合しげなる
大叔母のいたのを思い出す
山下しげであったところが
河合に嫁ぎ
夫は戦争で死んだ
かじさんなる男と親しくし
それでも男女関係ではなく
そのひとの連れ子
かじしげる
をかわいがっていた。
われの初代ボーイフレンドなり。
暫時(しばらく)は滝に籠るや夏(げ)の初(はじめ)
 

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