現象の奥へ

『355』──男がイマイチ(★★★★)

『355』(サイモン・キンバーグ監督、2022年、原題『THE 355』)

 

 アクションとしては悪くないが、「女スパイ」(「なりゆきスパイ」のコロンビア人のセラピスト、ペネロペ・クルスも含めて)たちが全員、政府筋のスパイであるところが、やや時代からズレていて、同じく政府系のジェームズ・ボンドもこないだ死に(笑))、いまや、完全なる独立系の「キングスメン」に期待がもたれる。「オミクロン株」(「誰が感染してもおかしくない」という台詞は、無責任なお馬鹿丸出しの台詞であるが(笑))同様、他人事ではすまされない事態となり、「おのおのがた油断めさるな」が、正しい台詞となるような状況である。

 そんななか、主役のジェシカ・チャスチン(彼女のコードネームが「355」か?)は、やさしい顔立ちながら、『ゼロ・ダークサーティー』で、新入りCIA局員を演じ、根性を見せながら、世界のむなしさに涙する、なかなかの演技であった。したがって、スパイ役は板についており、『ゼロ・ダークサーティー』の新人がベテランに成長した感がある。細い体で男以上のアクションをこなすのは胸がすくが、残念なのは、相対する男ども、敵も味方(なんておったっけ?(笑))も、大した「タマ」が出ていないということである。ゆえに本作の価値を大幅に下げている。ま、低予算映画なんですかね?(笑)

 ジェシカ・チャスチンの根性で★ひとつおまけ!(笑)}}