現象の奥へ

【詩】「ハムレット」

ハムレット

やがてはこのような題で詩、のようなものを書かねばならない未明が来ると、私もデンマークの王子にようにぼんやりと考えていた。真夜中の星とともに消えたのは、父あるいは遠い戦争の記憶で、ぼろ布をまとった修道士だったかもしれない。
思えば信濃町文学座アトリエの江守徹に始まり、狂言役者野村萬斎におわる一連の「ハムレット」役者の中には、メル・ギブソンなどもいる。それら、どれもシェークスピアが考えたハムレットからはどこか「ちょっとちがう」感を漂わせ、よく考えてみれば結局、誰だっていいということになる。そして、アメリカの作家、ウィリアム・フォークナーにも、『ハムレット』なる作品があった──。

それは、最後から巻き戻されていく映画のような
オフィーリアの思い出であり、
すでに死んでいる骸骨を撫で回す
墓掘り人の
ラム酒
あかつきにひらめく
城への
招待状……