現象の奥へ

【詩】「J.L.B. v.s. J.L.G」

「J.L.B v.s. J.L.G」

 

かたや、暗闇にまぎれ、密かに舟を漕ぎいれ、まだ癩病が流行っていない村に足を踏み入れる。

かたや、遠い過去の未来都市で、古びたSFを物語る。

かたや、火のなかに愛を見、

かたや、夥しいテクストに放尿する。

それでも、ふたりはひとりなのだ。

アレゴリーを破り捨て、

アルゴリズムを飲み干し、

どこへいく、あなたたちを、アリスが夢見ることをやめたとき。

かたや、忘却にのぞみを託し、

かたや、記憶を切り刻む。

どこへいく、あなたたちを、ドン・キホーテが見捨てたとき。

語りなおし、語りなおされる物語を、

性懲りもなく語るのみ。

ふたりはひとり。