2022-08-29 「愚かな薔薇」 詩 「愚かな薔薇」夢の奥で待ち構えている夢。そいつに、つかまるな!あなたから昼を洗い流す、暗い水の底に消えろ!無が与えてくれる死を憩わず、淫らな驚異を笑い尽くせ!さようならデミトーリアス、誰だったか、もう忘れたけど。王妃が葡萄酒色の裳裾で王の噂話をするとき、はて、どちらの王なのか。新しいのか古いのか。迷宮に魅せられた女、その名は。『夢魔』というボルヘスの詩は、「この愚かな薔薇は、なぜわたしの奥で芽吹くのか」という行で終わっている。