現象の奥へ

「見世物」

「見世物」

三河一宮の砥鹿神社のお祭りにはいつも見世物小屋がたって、
ものものしい看板が観客を
驚きの国へと連れて行く。
大学病院の白衣を着た医師と看護婦
が驚きの表情をしている絵。
一つ目の赤ん坊。
その異形にどんな論理も法律も摂理も
持ち込まれない。
ただ見る、というより、覗く。
そこで作られる「場」を形成するひとびとにも、
日常はあって、そこには交わりはなくて、
ラフォルグのような純粋な詩人がいなければ、
号泣ということばを食べ尽くすのみ。
年にいちどが、やがて、追憶へと流れていく。