現象の奥へ

【詩】「八代亜紀の『舟歌』を口ずさみながらポール・ヴァレリーを思う」

八代亜紀の『舟歌』を口ずさみながらポール・ヴァレリーを思う」

おフロで、口をついて出た、お酒はぬるめの燗がいい、
さかなはあぶったイカでいい、
ぬあんて、天才阿久悠が書いている。なぜか前頭葉の奥から、
ポール・ヴァレリーが湧き出して、この
地球ができてからの、パラダイム
を思わせた。いや、違う、パラダイムではない、
もっと基礎的な枠組み。
ヴァレリーを思えば、生まれてはじめて、地中海なる海に
脚を浸した瞬間を思い出す。
九月のはじめだったのに、身を切るほど冷たく、そうか、これがヨーロッパの海かと思った。
そこには、レオナルド・ダ・ヴィンチもいて、
川で洗濯をしていた。桃太郎のおばあさんである。それから、
おおくの芸術家を迎え入れた、海、ではなく川、
その名前は忘れた。