現象の奥へ

【詩】「失うということ」

「失うということ」

結局、死ぬまで、失うということを
知らないひとはたくさんいる。
知らないまま死んでいく。

失う。
すべてを失う。
それがどういう感じなのか、
ウンガレッティは
「すべてを失って」という
詩のなかで書いている。

人生が叫べぬ声の岩となって
喉の奥につかえる。
そんなふうに表現している。

わたしは90代の母といっしょに
死にたいと願う。