現象の奥へ

『源氏物語=反復と模倣 』──文才、想像力ゼロのガリ勉の冊子(★)

『源氏物語=反復と模倣 』(熊野 純彦 著、2020年2月28日、作品社刊) この著者は、高学歴でいろいろな言語もでき、「日本の頭脳」という声もあると聞く。テクストを読む力のない編集者は、すぐに「尊敬してしまう」(笑)。それで、カント(ドイツ語)から…

『免疫力を強くする 』(宮坂昌之著)──ウイルスはマスクの網目より100倍小さい

『免疫力を強くする 最新科学が語るワクチンと免疫のしくみ (ブルーバックス)』(宮坂 昌之著、2019年12月18日、講談社刊) タイトルは、巷間にあふれる、科学的裏付けのない健康本のようであるが、BLUE BACKSシリーズなので、科学の本である。したがって、…

蓮實 重彦 (著)『表象の奈落―フィクションと思考の動体視力 』──母国語の基礎がなければ何を書いても深い表現はできない。(★★)

『表象の奈落―フィクションと思考の動体視力 』(蓮實 重彦著、 2006年11月、新装版2018年5月、青土社刊) まず初めに、10年前以上の(Amazonの)レビュアーがお二方いらっしゃるだけの本書(つまりは「売れてない」(笑))、拙宅のそこらへんに転がってい…

【本】『読書実録』──テクストの喜びゼロ(★)

『読書実録』(保坂和志 著、2019/9/26、河出書房新社 ) たとえば、カフカの日記は、普通ならこぼれてしまうような行間を拾って、どこまでも興味は尽きないが、保坂和志も、カフカに習っているようだが、結果はまったく見当違いとなって失望させられた経験…

【本】『フーコー入門 (ちくま新書)』──フーコーのテクストとはなんの関係もない(★)

『フーコー入門 (ちくま新書)』(中山元著、1996/6/1刊、筑摩書房 ) フーコーの「処女作」は、精神科医ビンズワンガーの翻訳及び、著書の、本文より長い序文である。カントの人間学から、文献学へと進んでいったフーコーは、なにより、ドイツ語に通じる哲学…