現象の奥へ

【詩】「明石(あかし)」

「明石(あかし)」
 
ある本を探して本棚を見ていると、『吉本隆明全著作集1(定本詩集)』が埃をかぶってあった、はたして吉本さんはどんな詩を書いていたのか、
あわわ、いけね、いきなりキリスト教徒である。
このひとは、意外にも、キリスト教から出発したのかしら?
二十歳前後の頃、吉本さんちから直接雑誌『試行』を購読していた、
吉本さんが書いたらしい手書きの文字の封筒で来た。
書いてあることは私にはしちむずかしく、「状況への発言」だけがわかった、
毎号柄谷行人をけちょんけちょんに書いていた、あれも、なつかしい時間。
源氏物語の「明石」は、シェークスピアの『あらし』と『十二夜』を思わせる。
源氏が関係を持った女は、ドン・ジュアンの比ではないだろう、
これは藤原なにがしのために書いたポルノにちがいない。
あの時交わった女、明石の君への手紙を携えて、従者が明石へ帰っていく。
そのなにげない場面が美しく源氏の精液のことなど忘れてしまう。
 嘆きつゝあかしの浦に朝霧のたつやと人を思ひやるかな
 須磨の浦に心をよせし舟人のやがて朽(く)たせる袖をみせばや