現象の奥へ

【短編を読む】三島由紀夫「サーカス」

【短編を読む】三島由紀夫「サーカス」(400字詰め18枚)


「大興安嶺に派遣された探偵の手下であった」といとも簡単に表現されるが、曰くありげな過去を持つサーカスの団長に虐げられる、薄幸な曲馬乗りの少年と綱渡りの少女の話を、団長の捻れた愛の寓話として描くが、正確な言葉の選び方は、言葉の内実ではなく、言葉そのものであるということを認識させる。