現象の奥へ

【詩】「源氏物語─The sonnets 14」

源氏物語─The sonnets14」
「澪標(みをつくし)、あるいは『紫式部日記』」
 
紫式部日記』は、式部が仕えている一条天皇中宮彰子が
出産のために里帰りしている土御門殿の描写から始まる
 ときは秋。
安産を祈願する僧たちの読経の声が
オミナエシの咲く庭に流れている。
この邸は、もともとは、彰子の父、藤原道長の年上の妻の邸である。
みをつくし恋ふるしるしにこゝまでもめぐりあひけるえには深しな
道長は式部の部屋に、それは屋根のついた廊下のようなものであるが、
忍び込み、書きかけの原稿を勝手に持ち出す。
式部はアタマに来たが主人に対し、なんの権利も持たない。
おそらくNHKは、そんなことなど描くまい。
それでは受信料を払っている人々が喜ばないだろう。
 But flowers distill’d, though they with winter meet,
Leese but their show; their substance still lives sweet.