現象の奥へ

【詩】「三月ウサギを思い出すためのソネット」

「三月ウサギを思い出すためのソネット

四月は残酷な月だから、
三月は気ちがいの月。
大きなテーブルの片隅にひしめいて
三人がいる。すなわち、
発情期の野ウサギ、気ちがい帽子屋、ヤマネ。
ヤマネが真ん中で眠り込んでいて、二人はそれをクッション代わりに肘をついている。
かわうそ〜……じゃなくて、かわいそ〜
眠ってるならカンケーねーか。
「ワインでもいかが?」三月ウサギが言う。
「ワインなんかないじゃんかよー、お茶しか」
「そうだよ」三月ウサギは答える。
「そんなのマナー違反だよ」
「招かれてないのに来る方がマナー違反だよ」三月ウサギのへらずぐち。
そう、そして、あなたは、かつてアリスであったことを思い出す月、男性でも女性でも。

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