現象の奥へ

【詩】「外典」

外典

少女と老婆がいっしょに妊娠し、いっしょに産もうね(はぁと)といったハナシは、
新訳の外典に記されている。
それをレオナルドは、大天使ガブリエルの「告知」として、新しい画材である、油絵の具で描いた。
当然、ほかの画家も描いているテーマではあるが。
それは、「外典アポクリファ)」でなければならなかった。
日も暮れよ、
月日は流れ、私は残る。
わがセーヌよ。
ガブリエルは、詩人のふりをして、
ミラボー橋の欄干にもたれ、
煙草を吹かしている。

Sous le pont Mirabeau coule la Seine
Et nos amours.