「ラカンの『エクリ』」
最初に出てくる、ポーの
「盗まれた手紙」論。
英語での表現は、
The purloined letter.
Stolen letterではなく。
そこでラカンはオックスフォード辞典をひく。
purは古代フランス語の接頭辞、
英語のforにあたる。
loinもフランス語で、
英語のfarにあたる。つまり、
「遠くの方へ」
「わきへやる」
「隠す」
とくに隠しているわけではないのに、
手紙を受け取るべきひとには見えていない。
「偽計」を放棄した「偽計」が最も巧妙な「偽計」。
論理に対する執着と、論理に対する不信は、
同一の次元。
探偵小説の論理は動体。
象徴だったものが記号に変化する。
このように、ラカンは説明し、
エクリ、écrits、書かれたもの、
への、視線。
まだテクスト、
とは呼ばず。