現象の奥へ

【詩】「上意討ち」

「上意討ち」

自らの恨みではない。
上から言われてある男を追う。
池波正太郎は、似たような題名の短編を
いくつか書いている。
時の、
砂嵐に巻かれ、
はたして、
十数年前やりすごした相手に出会う。
ふたたび、やりすごしてござる。
時代劇は、普通のエッセイのように始まる──。
運命のように、あるいは、その痕跡のように。
背負ったものの重さゆえ、おのれが誰かわからない。
武士道とは、
死ぬことと見つけたり