現象の奥へ

【詩】「上意討ち2」

「上意討ち2」

以前、同じ題材について書いた。
この短編の書きようが、なんともアヴァンギャルドだったのが印象に残った。それで先日、
ドストエフスキーの『永遠の良人』の
二人の男の邂逅場面を心に描きながら
詩に書いた。
二人は背負い切れないものを背負って
長い年月を経てめぐりあった。
おりしもけふ、
信じられないような冤罪が、
イギリスで起こっていたと、
テレビは報じていた。
FUJITSUの子会社の提供する
ATMに不備があり、預金残高の、現実と機械の表示に差があった。
700人ものPOSTの職員が有罪となった。
知っていた上層部の誰それはそれを隠した。
世間はデジタルを信じ込んでいた。
一生を滅茶苦茶にされた人々がいた。
スナク首相は、一人あたり、日本円で一億五千万円を補償すると言った。
ひとの世界の理不尽が
ひとの運命を左右する
その奥底に、
詩は潜んでいる。
と、
小林秀雄は言うかもしれない。