現象の奥へ

【詩】「そしてプルースト」

「そしてプルースト


プルーストが失ったものと引き換えに得たのはシーニュだとしつこく書いたジル・ドゥルーズは、自分の体を自分では思うように動かせない病に罹って、それでは生きている意味がないと、どうにか車椅子だったかで、病室の窓まで移動して、窓外へ身を投げて死んだ。いったい、

何階からだったのか?

確実に死ねたことは確かだった。まったく関係ないことながら、昨日、イケメンで東京芸大出身だかの俳優、伊勢谷友介大麻所持で現行犯逮捕された。友人の海老蔵は「友介が!」と驚いたとか。

全然驚かない当方であるが。


ドゥルーズのふにゃけた文章。


プルーストの堅固な文章。


Un homme qui dort, tien en cercle autour de lui le fil des heures, l'ordre des années et des mondes.*


眠っている人は、彼の周囲に時間の糸を、年と世界の順序に円を描いてめぐらせている。


この文章は、ベルクソンの『記憶と物質』のなかの文章を思わせると、解説者の、アントワーヌ・コンパニョンは註に書いている。


ドゥルーズは自身がシーニュとなって砕け散った。


今宵、


Stay home


のほかに言うことはない。



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* Proust "Du côté de chez Swann" (folio, Gallimard, 1987, P5)



 

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