現象の奥へ

【詩】「詩人」

「詩人」

 

生まれてこのかた得た語彙を使い、

ある感覚を信じて展開するのは、整合性のある文章ではなく、きれぎれの

断片。ポオなのかシェークスピアなのか、

それとも、自称映画監督のジジイか

詩人よ、そなたと時との競争は、

はじめから悲惨な結果がわかっているAIを知らない棋士のやうに

無様だ。むしろ無様さこそ、

栄光と知れ。詩人よ。

賞や賞賛を求めるのは、生活するのに十分な金が得られないからだと、

そう書いたのは、フランス文壇を評したサマーセット・モームだったが、

It is because the financial rewards of authorship are so small

どこへでも行け、詩人よ!

そなたを褒めそやしてくれるクズどもの群れへ!

そして、陽に干されたコオロギのように、