現象の奥へ

【詩】「鴉」

「鴉」

かつて鴉という詩を書き、鴉という詩集を出した、それでも鴉はわがベランダに薄くなった石鹸を求めてやってきた、
それは死んだ愛犬の生まれ変わりを願うために、京都は常寂光寺へ出かけた日、
家人も外国旅行で留守で、誰もいないのをいいことに
鴉はベランダを荒らし放題にしていった、
ポーの「鴉」は、Ravenといって、大きな鴉を指すようだった、
そのように、うちへ来る鴉もでかい体のようだった、
鴉よ、鴉、いなくなってくれ、でないと、メジロもほかの小さな鳥も
来てくれない、
鴉よ鴉、ポーは詩は短くあるべきだ、と言いながら、
自分は長い詩を書いている、日本人の詩人は誰も、
尊敬していない。
なぜなら、でたらめだからだ、
鴉よ、鴉、この世の終わりにひとこと叫んでくれ
NEVER MORE !
と。