現象の奥へ

「一冊の書物」

「一冊の書物」

ボルヘスに同題の詩があるが、これはそれとは関係ない。
女は殺し屋で、同時に古書店を営んでいて、
あるとき、男がやってきて、古書好きのひとに贈るのだがと切り出す。
それでは、あれがお勧めですわ、
女は書棚の扉を鍵で開けて一冊の書物を取り出し、題名を言いながら、男に手渡す。
ポーが変名で出した処女詩集ですわ。ほう。
のちに男はまた女に出会い、
ある一節を口走る。
ポーの詩の一節、あの詩集に入っていた。
男はある組織のセキュリティ担当、女は暗殺者。
二人は武器を持って戦い合うが、決着が付かない。
おれを「ヤル」のか、おれと「ヤル」のか、どっちかにしてくれ。
女は後者を選び、最後は前者を選ぶ。
こないだ観た、風変わりなラブストーリー。