現象の奥へ

【コロナの状況を数学的に解析した論文(山中伸弥氏のHPより)のポイント】

【コロナの状況を数学的に解析した論文(山中伸弥氏のHPより)のポイント】

●「再生産数」というのは、一人の感染者が何人に感染させるかという数で、1以下にしないと、収束は難しいということです。「人との接触を八割減らす」ことをしなければ、(ワクチンがまだできていない今)感染者は級数的に増え続けることになる。

https://www.covid19-yamanaka.com/cont2/main.html

「黒木登志夫先生によるキネティックス解析
黒木登志夫先生は著名な癌研究者であり、サイエンスライターでもあります。岐阜大の学長も務められました。新型コロナウイルスの感染状況をキネティックスの観点から解析されています。特に対数で考えることの重要性を指摘されています。
東京で最近の感染者数の推移から、感染の様相が急速に変わっており、4月末には、東京だけで感染者数が25,000人に達する可能性を指摘されています。
常時、データや内容を更新されていますので、その度にお知らせします。」(山中伸弥


コロナウイルス arXiv*(6)2020 年 4 月17 日 黑木登志夫

ついに、全国に緊急事態宣言が出されました(4 月 16 日)。専門家会議の⻄浦博委員(北大教 授)は、人と人の接触を 8 割下げなければ、重症患者が累計 85 万 3000 人になり、その 49% (41 万 8000 人)が死亡することを警告しました(4 月 15 日)。しかし、8 割減の必要性を 理解できなかった人も多かったことと思います。第 6 報では、Imperial College London の 研究チームによる分析をお届けします。封鎖(lockdown)以外に感染を食い止める方法はな いと言うのがその結論です。私の理解を超えた数学的分析が使われておりますので、学術振 興会の同僚、宇川彰先生(素粒子物理学、計算科学)に解説していただきました。最後に、中 国と日本の再生産数(1-3 の間を上下している)分析から、接触機会の 8 割減により再生産数 を 0.2 から 0.6 にするくらいの目標を立てないと、この難敵には勝てないと忠告していま す。


2.緊急事態宣言と接触8割削減の要請 宇川彰

日本の感染拡大はゆっくりだからと言って、のんびり構えている余裕はない。このペースで 拡大が進むと、現在(4 月 15 日)8,300 人の感染者数は 5 月 15 日には 140,000 人に増え、 死亡者は 3,000 人に近付くことになる。再生産数が1を超えている限り、感染爆発はゆっく りとではあれ確実に起こるのである。さらに、今後感染者数が増えて行くと、経路不明感染 者の増加によって人々がもはや接触を避けることができなくなり、再生産数が増加して、現 在までより遥かに急激な拡大が起こる可能性も否定できない。
接触を8割減らすと、1から3の再生産数は 0.2 から 0.6 程度になる。中国の二月半ばから 三月半ばの水準である。これによって中国ではピーク時に毎日 3,000 人の感染が報告され ていたところを約一ヶ月で数十人のレベルまで下げることができた。それでも、感染者数は その後横ばいから緩増加の傾向にある。四月半ばになって武漢のロックダウンはある程度 解除されたが収束には程遠い。