現象の奥へ

【詩】「ローマ」

「ローマ」

はじめてローマのキャピトリーノの丘に達したとき、
珍しい柄の猫にあった。
ローマでは珍しくなかったのかもしれないが、
そいつは、渦巻き模様だった。いや、そいつら。
何匹もがらんどうの丘の斜面をのし歩いていた。
透明の天使や戦士が飛び交っていた。
イギリスの歴史家ギボンも。
フェリーニなんて問題じゃないね、とギボンは言った。
あのとき、すでに歴史は古かった。
だれも、あんな壮大な歴史書を書くなんて
信じていなかった。
渦巻き猫は通りすがりながら言った。
え?
こうしてわたしの魂は透明になった、