「葡萄酒色の海」
名前はオデュッセウスだったかどうか、
忘れた。
しかし女神たちよ歌ってくれ
この葡萄酒色の海で。
これから世界一の美女、ヘレナを奪回するために、
われらはトロイアという国に向かう
ヘレナファン同盟。
もちろん妻子ある男もいる。
その名が、オデュッセウスだったかどうか、
定かでない。
海は荒れ、この海にソムリエはいない。
牛も生きたままつれている。
焼き肉にして食うために。おっと
その前に神に供物として捧げる。
ここがどこか、トルコのエルドゥアンよ、
教えてくれ。
もうすぐきみの国だ。そこには、
世界最高の盲目の詩人がいるという
その名前は、
忘れた。
なんたって「認知」が迫ってるんでな。
覚えているのは、その海の色が
葡萄酒の色だってこと。
ボルヘスは奥深く
棘のなかに沈んでいく。
ブエノスアイレスと、
トロイアが入り混じる。
見よ、海岸には、バラ色の虎に変身した
ヘレナがいる。