現象の奥へ

【詩】「葡萄酒色の海」

「葡萄酒色の海」

名前はオデュッセウスだったかどうか、
忘れた。
しかし女神たちよ歌ってくれ
この葡萄酒色の海で。
これから世界一の美女、ヘレナを奪回するために、
われらはトロイアという国に向かう
ヘレナファン同盟。
もちろん妻子ある男もいる。
その名が、オデュッセウスだったかどうか、
定かでない。
海は荒れ、この海にソムリエはいない。
牛も生きたままつれている。
焼き肉にして食うために。おっと
その前に神に供物として捧げる。
ここがどこか、トルコのエルドゥアンよ、
教えてくれ。
もうすぐきみの国だ。そこには、
世界最高の盲目の詩人がいるという
その名前は、
忘れた。
なんたって「認知」が迫ってるんでな。
覚えているのは、その海の色が
葡萄酒の色だってこと。
ボルヘスは奥深く
棘のなかに沈んでいく。
ブエノスアイレスと、
トロイアが入り混じる。
見よ、海岸には、バラ色の虎に変身した
ヘレナがいる。