現象の奥へ

Entries from 2021-01-01 to 1 year

【詩】「ジェノサイド」

「ジェノサイド」 ヒトラーの『わが闘争』を読むと、 最初のユダヤ人への嫌悪は 匂いである。 生理的なものはどうにもならない。 理性はまったく役にたたない。 どこから来るのか、この憎しみ。 しかして、異なものすべて、民族のすべてを 消そうとする。そ…

『anan(アンアン)2021/9/29号 No.2267[美乳強化塾2021/倉科 カナ]』──「多様性」とは真逆の恥ずかしい思想(★)

『anan(アンアン)2021/9/29号No.2267[美乳強化塾2021/倉科 カナ]』(2021/9/22、マガジンハウス刊) かつての月亭可朝の「ボインは、赤ちゃんのためにあるんやで〜。オトーチャンのためにあるんとちがうんやで〜♪」という歌を思い出した(笑)。誰もが、健全…

『MINAMATA―ミナマタ―』──デップ入魂の一作(★★★★★)

『MINAMATA―ミナマタ―』(アンドリュー・レヴィタス監督、2020年、原題『MINAMATA』) ジョニー・デップが『MINAMATA』のユージン・スミスを演じると知った数年前からずっと待っていた。映画は役者によって100%決定される。ゆえにハリウッドのスターは高額…

【模写】レオナルド・ダ・ヴィンチ『洗礼者ヨハネ』

【なにげに模写してみました】レオナルド・ダ・ヴィンチ『洗礼者ヨハネ』(ルーブル美術館蔵) Mainte erreur, gâtant les jugements qui se portent sur les œuvres humaines, est due à un oubli singulier de leur génération. On ne se souvient pas sou…

【詩】「秋」

「秋」 秋来ぬと文字はさやかに読めねども三井番頭 nuvol tenebrata (NHK大河ドラマ『青天を衝け!』で三井の番頭を快演するイッセー尾形さんを讃えて)

『スイング・ステート』──このテの映画はもうオワコン(★)

『スイング・ステート』(ジョン・スチュワート監督、2020年、原題『IRRESISTIBLE』) まったくどこが「コメディ」なのか、アメリカの選挙の代理戦争のような、参謀しだいのような、日本ではあまりなじみがない……といいたいが、だんだん「それに追いついてく…

【詩】「影」

「影」 胴体を失ってしまった浅野内匠頭(あさのたくみのかみ)は、 本居宣長に出会い、 「どれでもいいから、胴体を選びなさい」 と言われた。さまざまな胴体の並ぶ クロゼットのような場所に入って 内匠頭は胴体を選んだ。 「おお、それを選んだか!」 と…

福田和也著『ろくでなしの歌―知られざる巨匠作家たちの素顔』──よーこんな本買うわ(笑)(★)

『ろくでなしの歌―知られざる巨匠作家たちの素顔』(福田和也著、メディアファクトリー、2000年4月刊) いまごろ、私がこんな本を買うわけはない。友人が間違えて二冊買ってしまったといって、さっき送ってくれたので、「すぐやる人」の私はすぐ本レビューを…

【詩】「白猫黒猫」

「白猫黒猫」 落ちていく落ちていく── ことばをおもいきり節約して 暗喩 直喩 美 優雅 などなくても 最高の詩が書ける ということを ダンテは教えてくれた と、アリスは白猫に向かって言った。 そしてそれは黒猫でもあった。 Per correr miglior acqua alza …

【詩】「星」

「星」 そらもう旅の終わりだ。星という字が見える。アリスはページを繰って、若き芭蕉が 師である西行に連れられて 地球の反対側に出るのを見る。 暑くて眠くて アリスはぼーっとなった。 これはこうふく。 これはようねんき。そして、 にんげんのはじまり…

『この時代に想う テロへの眼差し』(2002年2月、NTT出版刊、木幡和枝訳)──「今はもう誰もソンタグなど思い出さない」

『この時代に想う テロへの眼差し』(2002年2月、NTT出版刊、木幡和枝訳)──「今はもう誰もソンタグなど思い出さない」 演劇科の卒論は、「オフオフブロードウェイを支える思想」というタイトルのパフォーマンス論だったが、スーザン・ソンタグにだいぶ影響…

【詩】「驚異」

「驚異」 ポーは詩にとってなくてはならいものは 驚異だとした と、エリオットは書いている。 『神曲』「地獄篇」第26歌にはそれがあると。 それはいかなる驚異か。 オデュッセウスとディオメデスが ひとつの炎のなかで焼かれている。 オデュッセウス役のハ…

【9.11二十年】

【9.11二十年】 20年も経てば、あらゆる問題は変容する。FBIは大統領とは独立の機関であるらしく、今も、調査している。しかし、大統領直属の情報機関であるCIAの姿はどこにもない(2021/9/11のNHKのドキュメンタリーで)。 映画としては、オサマ・…

【オーデンの「新年の手紙」その一節を訳してみると……】

【オーデンの「新年の手紙」その一節を訳してみると……】 A New Year Greeting W.H.AudenOn this day tradition allots to taking stock of our lives,my greetings to all of you, Yeasts, Bacteria, Viruses,Aerobics and Anaerobics: A Very Happy New Yea…

【本】叢書・同時代の詩Ⅳ「田村隆一『死語』」(昭和五十一年、河出書房新社)──なんだ、これ?

たまに田村隆一を信望している人を見かけるが、はっきりいって、この人の書いているものは詩ではない。ではなんなのか? ただのメモというか走り書きというか──。ここには、清水哲男の、おビンボーな(笑)日常もなければ、教養も機知もなく、ただの酔っ払い…

【詩】「猫に小判」

「猫に小判」 ありゃ〜、なにこれ? 薄っぺらくて(と、ためつすがめつ) (突然噛んでみる)をいをい! 金メダルぢやないだわ! ありゃ! 歯形がついちまった。 どーしよー? それ、金メダルより純金の濃度多いんだわ、たぶん。 そうだ! 言ってあげなくち…

タリバン政権に挑戦する女性たち

タリバン政権へ挑戦する女性たち。カブールでは何十人もの女性たちが、働く権利と新政府へのポストを求めてデモを行った。(『クーリエ・アンテルナショナル』) ***** 私見:タリバン政権が貧者を助け、西欧VS.東洋の図式を持ち出す人々がいるが、それ…

「Giuseppe Ungaretti(ジュゼッペ・ウンガレッティ)」

「Giuseppe Ungaretti(ジュゼッペ・ウンガレッティ)」 アフリカ生まれのイタリア人 そして イタリア最大の詩人 二十四才の時、アレキサンドリアから船に乗り 遠く故国をかすめ、パリへ着いた ソルボンヌで出会ったのは ベルクソン、そして 親友の自殺 Si c…

【詩】「無がこぼれる」

「無がこぼれる」 摘まれた花と贈られた花の あいだに、言い表しがたい無 と書いたウンガレッティ を思い出す時が来た。ついでに マラルメも。なぜなら無が わたしの手の中からこぼれ始めている。

【詩】「火あぶり」

「火あぶり」 シニョリーア古き都の時鳥(ほととぎす)熱い熱いとSiete voi qui, ser Brunetto?

【詩】「レプリカ」

「レプリカ」 郭公(ほととぎす)初声(はつこゑ)聞けばあぢきなくレプリカだとてTutti lo miran, tutti onor gli stanno

【詩】「泥」

「泥」 e fango è il mondo. そして世界は泥である。 これは、ベケットが、プルースト論の冒頭にかかげたエピグラムであり、レオパルディの「彼自身へ」という詩からの引用であるが、 フランス語訳では、 La monde n'est que fange. となっていて、これを訳…

【詩】「門」

「門」 音羽山今朝越え来れば郭公(ほととぎす)門に隠れてse non eterne, ed io eterna duro

【詩】「夢」

「夢」 今朝来鳴きいまだ旅なる郭公(ほととぎす)ダンテの夢のO Muse, o alto ingegno

【詩】「マリア」

「マリア」 何時の間にフィレンツェめぐりハルヨさん山郭公(やまほととぎす)Donna è gentil nel ciel

【詩】「アレゴリー論」

「アレゴリー論」 五月待つ花橘のアレゴリー昔のカレのLo giorno se n'andava

【詩】「師」

「師」 人生の半ばで暗い森に迷い込み 私は志を絶たれた あるじは即日切腹 お家は断絶 配下の武士たちは浪人 城代家老の私は 京都で家庭菜園 その後妻を離縁し 女遊び 密偵を江戸に送り SNSで吉良の動向を探り 年末茶会と知り 討ち入りの計画を練った 夕…

【詩】「道」

「道」 五月来ば道もふりなん人生の迷いの森のla paura!

Amazonの終わり

独禁法違反疑惑、ベゾスの宇宙旅行熱、パントリーの終了。もう買い物ゲームの楽しさはない。しかもスーパーより高い(笑)。そろそろAmazonに終わりが見えてきた。第一もうわくわくしないのである(笑)。

【詩】「中世後期イタリア語」

「中世後期イタリア語」 五月待つ山ほととぎすメディチ家のAh! quanto, a dirラテンと鳴く声