現象の奥へ

Entries from 2023-01-01 to 1 year

【詩】「Ti con zero(ティコンゼロ)」

「Ti con zero(ティコンゼロ)」 La molle Luna Secondo i calcoli H. Gerstenkorn, sviluppati da H.Alfven, i continenti terrestri non sarebbero che frammenti della Luna 柔らかい月 エッチ・ジェルステンコルンが推論し、えっち・アルフヴェンが敷衍…

『源氏物語─The sonnets』5

『源氏物語─The sonnets』5 5「若紫、あるいは、雑草という草はない」 武蔵野に色やかよへる藤の花若紫に染めて見ゆらむ ことばたらずの愛を愛を とあいみょんが歌う、 これがドリカム吉田美和とかユーミンでは 時代遅れもはなはだしい NHK朝ドラも世につれ …

【詩】「どうする山下?」

「どうする山下?」父方は遠江浜松、母方は長篠ことしは、そういう年だ。遠州の森に来てみれば茶工場あり。あたりは揉み砕かれる茶葉の匂いに満ちている。伯父と父がなにやら茶葉を噛みながら、うなずき合っている。むきだしの梁から下がった木のブランコを…

『源氏物語─The sonnets』い

『源氏物語─The sonnets』い い「手枕、あるいは、宣長の恋」 源氏の兄の東宮が突然死に、その嫁たる六条御息所 そこへなぐさめにいってくれと、帝から頼まれる 当然二人は恋仲となり、 六条御息所は恥ずかしいと思いながら、 源氏に執着する 源氏の愛人とな…

『源氏物語─The sonnets』4

『源氏物語─The sonnets』4 4「夕顔、あるいは、記憶よ語れ」 身分の低い階級にもいいおんなはいるんだ、 ということを、源氏は頭中将に知らされて そんな女との出会いを果たす。 それは中将の愛人であった。 寄りてこそそれかとも見めたそかれにほのぼの見…

平出隆『雷滴 その放下』(via wwalnuts)

平出隆『雷滴 その放下』(via wwalnuts)封書の形の詩集(?)であり、封書で届けてもらうか、普通の本のように、切手も消印もなく、無垢の封筒に入れて届けてもらうか、選ぶことができる。私は最後の一冊と書かれたものを、Amazonで見つけた。発行をもとを…

【詩】「雨の日」

「雨の日」suddenly in the midst of a game of loto with his sistersArmstrong let a roar out of him that he had the raw meatred wet flesh for Louis 突然ロトの最中に姉妹たちとやってきてアームストロングは大声をあげる生のフレッシュな赤身の肉を…

『源氏物語─The sonnets』2

『源氏物語─The sonnets』22 「帚木、あるいは、排蘆小舟」あしわけをぶねは、三十四歳の宣長の生涯未発表の処女作なり、そして歌論なり。歌の本体、政治をたすくるためにもあらず。身をおさむる為にもあらず。たゞ心に思ふことをいふより外なし。はゝきの心…

『源氏物語──The sonnets』1

『源氏物語─The sonnets』11「桐壺、あるいは、物の哀れ」なぜ、ひとは物語を必要とし、なぜ、ひとはこころをもつのか、それは、ベルクソンも柳田国男も答えてはいない。ただ示唆するのみ。そして本居宣長は、それに名前をつける。すなわち、物の哀れである…

【詩】「あるいは、しなびたオレンジ」

「あるいは、しなびたオレンジ」ミシェル・ピコリが朗読するボードレール『悪の華』を、午前三時頃?ふとんのなかでiPhoneからイアフォンで聴きながら、眠ってしまった。目が覚めた時は翌七時四十分だった。大急ぎで起きて朝食の準備だが……そのあいだ、その…

HP更新。きてね。

www.mars.dti.ne.jp

山下晴代第17詩集『Drunken Boat』発売のご案内

出ました!山下晴代第17詩集『Drunken Boat』。(1500円)紙で読まなければ、見えない世界がある。寄贈→ゼロ。いくら待っても来ない(笑)。自腹を切らなければ見えない世界がある。Drunken Boat とは「酔いどれ船」。ランボーの詩をベケットが訳した英語題…

【詩】「詩」

「詩」古来日本において「詩」とは漢詩のことであり、最古の詩篇は、「詩経」である。紀元前より江戸時代まで、志のあるものは、これを勉強した。曰く、我心匪鑒 不可以茹わが心鑒(かがみ)に匪(あら)ず、以(もつ)て茹(はか)るべからず。わたしのここ…

【詩】「古今のなかの萬葉」

「古今のなかの萬葉」大伴家持が、天平宝字三年(七五九年)にまとめたと言われる万葉集は、四〇〇年ぶん、四五〇〇余首。一五〇年経って勅撰の世となった古今和歌集(九〇五年)に、萬葉の柿本人麿登場すなり。わがやどの池の藤波咲きにけり山ほととぎすい…

【詩】「夜行(よるのたび)」

「夜行(よるのたび)」唐、宋、元、明、清、のうちの宋の時代は平和で、教育は農村にまで届いた。強固な中央集権によって、平和が確保された。最後の皇帝、徽宗(きそう)の崇寧(すうねい)年間、一一〇〇年ごろの、人口は四千六百七十三万四千七百八十四…

【詩】「そして、船はゆく」

「そして、船はゆく」アシェンバハは五十歳の誕生日にとるものもとりあえず旅に出る。船旅。ボルヘスは「船旅」という題の詩の第一行目に、「海は無数の剣であり、満ち足りた貧困である。」と書いている。はて、アシェンバハにとって、海とはなにか?作者の…

【本】村上春樹著『街とその不確かな壁』

村上春樹著『街とその不確かな壁』(新潮社、2023年4月刊)結局この著者は、文学というものがわかっていなくて、小説家デビューし、ベストセラー作家になっても、その事実は、まったく変わらず、本人も多少は理解していて、74歳になってしまって、焦ってこん…

【詩】「Baby, You're a Rich Man」

「Baby, You're a Rich Man」Now.In the zoo.もともとこのFace Bookは、アイビーリーグの「マッチングアプリ」そう。いまはやっているマッチングアプリより先にできた。名門大学の男女が知り合うために。それをザッカーバーグが考え出した。いまは三女の父?…

【詩】「ツルゲーネフ」

「ツルゲーネフ」1818年に、中央ロシアに生まれた作家です。家は裕福な地主階級。しかし母親が専制的な性格で、農奴に惨めな生活を強いた。ツルゲーネフは繊細な自然の美のなかに農奴を描き、解放運動にも参加した。ゴーゴリへの追悼文が検閲にひっかかり、…

【詩】「玉鬘」

「玉鬘」恋ひわたる身はそれなれど玉かづらいかなる筋を尋ね来つらむOr I shall live your epitaph to make,Or you survive when I in earth am rotten,From hence your memory death cannot take,ただの髪飾り、月のひかりにくりくりっと動いていま少女の生…

【詩】「ラカンの『エクリ』」

「ラカンの『エクリ』」最初に出てくる、ポーの「盗まれた手紙」論。英語での表現は、The purloined letter.Stolen letterではなく。そこでラカンはオックスフォード辞典をひく。purは古代フランス語の接頭辞、英語のforにあたる。loinもフランス語で、英語…

【詩】「ドゥルーズの『映画』」

「ドゥルーズの『映画』」Les grands auteurs de cinéma nous ont semblé confrontables, non seulment à des peintres, des architectes, des musiciens, mais aussi à des penseurs.Ils pensent avec des images-mouvement, et des images-temps, au lieu …

【詩】「戀」

「戀」生まれてくるのが早すぎた、のか、塚本邦雄は辛くて深い沼のなかで呻吟し、六百番歌わせの批評、詩、小説の一体化した本を作ってしまった。いまでは、LGBTなどもNHKで楽しく歌われている。しかし、家族を持ってしまった氏は、闇に翻弄されるがままにな…

【詩】「革命のエクリチュール」

「革命のエクリチュール」 T.S.エリオットは、ボードレールは、散文の方がよい、と書いている。ボードレールの詩は、その時代には進みすぎて、まだほんとうに理解されなかった──。詩どころか、ボードレールそのひとも理解されなかった。すでに革命ははじまっ…

【詩】「バルト『表徴の帝国』」

「バルト『表徴の帝国』」自室の足下に落ちていた、バルト全集第三巻、ポストイットを引っ張れば、L'Empire des signesひょうちょうのていこくすばらしき訳なり。きごう、というより、むしろ。ひょうちょうのていこく、とくりかえす。ひょうちょう。「テクス…

大江健三郎そして大江健三郎

【大江健三郎そして大江健三郎】 1969年以降の大江健三郎の作品は、ほとんどが、題名も含めて詩であると、当方は考える。詩への嗜好、嗜好、思考は、1969年初出の『われらの狂気を生き延びる道を教えよ』は、それがテーマだといっていいくらい表出されている…

【詩】「ジュリア・クリステヴァ『詩的言語の革命』」

【詩】「ジュリア・クリステヴァ著『詩的言語の革命』」 完璧な辞書が存在するという 思い違い、 あらゆる知覚、 言語、 抽象的観念 に対して、 それらに対応する 記号を 辞書のうちに見いだしうる という考えは 錯誤であると、 ホワイトヘッドは言っている…

【詩】「若き宣長と源氏というテクスト」

「若き宣長と源氏というテクスト」すでに時は過ぎ、誰も、自由に源氏を読むことはできず、夥しい註釈の森で、十九歳の宣長は、式部を追って、深みに入る。それはちょうど、ニーチェがテクストの森に足を踏み入れたごとく。まずは男に書かせたる物語を、その…

【詩】「ジュリア・クリステヴァ『詩的言語の革命』」

【詩】「ジュリア・クリステヴァ著『詩的言語の革命』」 完璧な辞書が存在するという 思い違い、 あらゆる知覚、 言語、 抽象的観念 に対して、 それらに対応する 記号を 辞書のうちに見いだしうる という考えは 錯誤であると、 ホワイトヘッドは言っている…

【詩】「ジュリア・クリステヴァ『詩的言語の革命』」

【詩】「ジュリア・クリステヴァ著『詩的言語の革命』」 完璧な辞書が存在するという 思い違い、 あらゆる知覚、 言語、 抽象的観念 に対して、 それらに対応する 記号を 辞書のうちに見いだしうる という考えは 錯誤であると、 ホワイトヘッドは言っている…