現象の奥へ

Entries from 2022-01-01 to 1 year

【詩】「うつらうつらしながら」

「うつらうつらしながら」 La sottise, l'erreur, le péché, la lésine, Occupent nos esprist et travaillent nos corps, 馬鹿、間違い、罪、吝嗇が、 われらの頭を占め、体を動かす と、シャルル・ボードレールは書く。 ここには、なんら観念的な言葉はな…

『新潮2022年6月号』──『現代詩手帖』以下(★)

『新潮2022年6月号(新潮社、2022年5月7日刊) 売れない文芸誌の凋落は激しいが、なかでもこの『新潮』が随一である。書き手は、三十年前とそう変わらず、お家芸?(笑)の、学閥、コネを思わせるメンバー。お土産で言ったら、上げ底も激しい。 四方田犬彦氏…

突然の書道

石川九楊の『縦に書け』を読破して、道具と手本を揃え、ある年の書き初めとして書いたがな〜。手本は、紀貫之なり。なんでも、石川師によれば、日本語は縦に書くようにできているとか。

【詩】「ロシアより愛をこめて」

「ロシアより愛をこめて」 文学とは、まず第一に、自由の香りがしなくてはならない、けれど、 ナボコフは、軽蔑さえ宝物として記憶する、そう、 記憶だけが文学だ、彼にとって。 それから、ベンヤミン。 物語作者を探して、ロシアの地をゆく、そう、あれはロ…

『現代詩手帖2022年5月号』──ほかの詩誌ではできない内容となっている(★★★★)

『現代詩手帖2022年5月号』(思潮社、2022年4月28日刊) 四方田犬彦氏の小詩集に関心があり、購入した。そうそう世間の人は目がいかないが、私は、T.S.エリオット『荒地』のもとになっているテクスト、フレイザーの『金枝篇』と関係があるかな〜?と思った…

【詩】「ちょうどよいテロリスト」

「ちょうどよいテロリスト」 Facebookの魑魅魍魎をゆけば、 第一詩集として、『ちょうどよい猫』という題名の詩集を出した女性詩人あり。 「詩を書いてます。まだ駆け出しで」と。 しかし、それなりの人気を集めていた。 われははたと立ち止まり、「ちょうど…

HP更新のお知らせ。

HP更新。きてね。 www.mars.dti.ne.jp

山下晴代第15詩集『あるいは金枝篇』のご案内

紙でなければ読めない書き下ろし長編詩がある。https://www.seichoku.com/item/DS2003196

『英雄の証明』──差異を描き出すのも映画の手柄(★★★★★)

『英雄の証明』(アスガー・ファルディ監督、2021年、原題『GHAHREMAN/A HERO』 イランは映画大国で、キアロスタミをはじめ、作風は洗練されている。生活は欧米化されていて、社会もわりあい開かれている。しかし、細部で、やはり民主主義先進国の生活、社会…

【詩】「荒川洋治」

「荒川洋治」 「荒川洋治」なんて字を見ても、 もうなにも心は動かない。それがなにか文章の作者だとしても、その文章を読みたいとは思わない。 鎌倉時代の癩病施設に関して書かれた「詩のようなもの」は読んだ。 「詩のようなもの」というのは、本人が「詩…

【ソシュールより始めよ】

【ソシュールより始めよ】 知られているように、フェルディナン・ドゥ・ソシュールには著書がない。死後流通している著書は、彼の生徒のノートから成り、それらのノートは幾人かのもので、なかでもいちばん詳細で厳密なノートが中心となり、他のもので補われ…

【ソシュールより始めよ】

【ソシュールより始めよ】 知られているように、フェルディナン・ドゥ・ソシュールには著書がない。死後流通している著書は、彼の生徒のノートから成り、それらのノートは幾人かのもので、なかでもいちばん詳細で厳密なノートが中心となり、他のもので補われ…

最果タヒ詩集『さっきまでは薔薇だったぼく』──将棋で言えば藤井聡太

最果タヒ詩集『さっきまでは薔薇だったぼく』──将棋で言えば藤井聡太(小学館、2022年4月13日刊) ついに詩集が、小学館から出た! 日本で唯一、メジャーデビューした詩人。有名詩人も、有名な文筆家も、自費出版をしているような詩の出版社なら、「企画モノ…

【詩】「お気に召すまま」

「お気に召すまま」 お気に召すまま、泣かせてね。 ぬあんて歌ってた日々がなつかしい。 ひとりの名前はじゅん、もうひとりはねね。 ボードレールもマラルメも、さいはてたひも 知らない。ごめんねごめんね、ひまわりさん。 いまは戦車で踏み潰されて、 マル…

【なぜ戦争をするのか?】

【なぜ戦争をするのか?】 ひとはなぜ戦争をするのか。べつにフロイトが、心理的にあれこれ考えても意味がない(笑)。心理や人格で片付く問題ではない。 大昔から同じ理由による。物資調達である。トロイア戦争の起こりは、ホメロスが、「イリアス」や「オ…

【アメリカでは大統領より議会の方が権限を持つ】

【アメリカでは大統領より議会の方が権限を持つ】 戦争における有効的な武器とは、「いまでは」、戦闘機ですが、どこの「製品」であるかは、衛星画像を分析すればすぐわかることで、さっきNHKでやっていた、「忘れられた戦場」の、ミヤンマーの村では、ウ…

【模写】パウル・クレー『さえずり機械』

【もしゃもしゃかめよ】 パウル・クレー『さえずり機械』(1922)@ニューヨーク近代美術館

『ユーラシアニズム』

『ユーラシアニズム─ロシア新ナショナリズムの台頭』(チャールズ・クローバー著、越智道雄訳、2016年、NHK出版刊) 座右の書といってもいい書であるが、読んでも読んでもぬかるみにはまっていく。いま、まさに、この本のとおりに、というより、この本の…

『ヒットマンズ・ワイフズ・ボディガード』───政府筋も非政府系ボディガードにおまかせ!の時代(笑)(★★★★★)

『ヒットマンズ・ワイフズ・ボディガード』(パトリック・ヒューズ監督、2020年、原題『HITMAN'S WIFE'S BODYGUARD』 前作の『ヒットマンズ・ボディガード』は観ていない。が、根本の思想といっては大げさだが、アイディアは同じものだろう。つまり、凄腕の…

戦争犯罪の証拠

【戦争犯罪の証拠】 NYタイムズ(新聞社ではあるが)は衛星画像を撮って、キーウに転がる遺体が一週間以上放置され、その変化をも記録している。それはNHKが流していた。一方「ねつ造説」を主張するロシアは、スローフィルムを流して、遺体の手などが動い…

【詩】「ジェノサイド」

「ジェノサイド」 私が「ジェノサイド」ということばに深く印象づけられたのは、 ほかでもない、リドリー・スコットの『ブラック・フォーク・ダウン』という映画で、 東ソマリアの「内戦」に「干渉した」アメリカがよこしたデルタフォースの特殊部隊の将軍役…

【詩】「金枝篇」

「金枝篇」 それは文章を読まない、 ゆえに文学の歩みに汚されていない、 民たちの、物語。 まだ自然しかなく、伝説もない、 ギリシア悲劇でさえ近づけぬ森の。 祭司を殺してまた祭司になる、その祭司も殺されるまでは祭司である。 ターナーはそんな世界を描…

妹、小林貴子作品展「風の音」開催中

妹、小林貴子の作品展「風の音」、喫茶フォルムにて開催中。ギャラリー喫茶らしい、広々として、洗練された空間。温かな明かり。 (2022/4/1〜4/15 4/4と火曜定休。 豊橋市松葉町2-20 TEL 0532(53)6443 7:00 a.m 〜 6:00 p.m 最終日4:00 店舗隣、駐車場 30分…

プーチンの思想

プーチンの思想というのは、意外にも、収容所群島の受刑者の紙袋に書かれた走り書きなのだ。したがって、国民国家のやり方は通じない。

けふの引用

【けふの引用】 ≪Suis-je romancier ?≫, se demande Proust à l'automne de 1908, ver la fin d'une année où il s'est mis une nouvelle fois au travail. Depuis toujours, il veut être romancier, mais le désir demeure irréalisable : ce sera le suj…

妹、小林貴子の作品展「風の音」のご案内

妹、小林貴子の作品展「風の音」のご案内。 2022年4月1日から15日まで(火曜定休、4/4休み) 愛知県豊橋市の「喫茶フォルム」(豊橋駅から徒歩4分)にて。 この喫茶店は、店の壁全面が打ちっぱなしのコンクリートで、オーナーはもともと画廊を作…

『現代詩手帖2021年五月号』Amazonレビュー9回削除記念(笑)

『現代詩手帖2021年五月号』Amazonレビュー9回削除記念(笑) また削除要請→削除→投稿しなおし→復活(笑)今回で、9回目の削除である。やればやるほど、以下の「資料」が積み重なっていく。その病的なしつこさに、よほど当レビューの内容を知られては困ると…

『パンとサーカス』(島田雅彦著、2022/3/24、講談社刊)──阿部和重の『オーガ(ニ)ズム』をおすすめします(★)

『パンとサーカス』(島田雅彦著、2022/3/24、講談社刊)──阿部和重の『オーガ(ニ)ズム』をおすすめします(★) プロの作家は、たいていの場合、新人賞を通過し、ここで、筆力というものが問われる。しかし、この島田氏の場合、コネで文芸誌に載り、それが…

【詩】「シベリアと犬笛」

「シベリアと犬笛」 シベリアに行ったことはありますか? まあ、ないでせう。 私も行ったことはありませんが、中国映画で、「体験」しました。 いわゆる「放下」された人間が住む場所もシベリアでした。 酷寒の地なので、雪原を想像していたのですが、雪はあ…

けふの格言(Today's aphorism)

けふの格言(Today's aphorism) Old soldiers never die ; they only fade away. (老兵は死なず、ただ消えゆくのみ)